バオー来訪者@ 5頁 | ナレーション | |
そいつに触れることは、死を意味する! これが! バオーだッ! |
バオー来訪者@ 17頁 | ナレーション | |
黒い列車は、その組織の専用運搬列車だった! 時刻表にはのっておらず、国鉄を自由に走れる特権を持っていた! 組織の起源は、旧日本軍の化学細菌戦部隊に由来する! その研究はひきつがれた! そしてベトナム戦争の時、アメリカ軍によって 特殊兵器開発のための秘密研究機関が作られた。 それがこの組織だ! 運搬物は、爆発物! 薬品類! 化学兵器類! 実験用動物! 食料! 生活物資! 極秘! その研究内容は、軍事目的のため、絶対に外にもれてはならないッ! |
バオー来訪者@ 37頁 | スミレ | |
ふーん、17さい……高校生? あたしは9さいよ。 もうすぐ10だから、たった7つしかはなれてないわよね。 ……たいしてはなれてないわ。 |
バオー来訪者@ 67頁 | ドレス機関員 | |
あのですねェ、写真もろくすっぽごらんにならないで、 知らないとは、どういうことですかねェ。 いいですか……ガラスに顔をくっつけてて見にくいようでしょうけど、 もう一度よーく見てください。 |
バオー来訪者@ 67頁 | オウム | |
アリガトゴザイマ――――ス! |
バオー来訪者@ 80頁 | 霞の目 | |
「バオー」は、自分の身に攻撃を加えられた時! 最大の破壊力を発言させるのだッ! |
バオー来訪者@ 102頁 | ナレーション | |
動物は危険がせまったり、ケガなどをすると、副腎髄質という内臓器から、 アドレナリンという物質を分泌し、体を緊張させるッ! このアドレナリン量を脳に寄生する「バオー」が感知し…… 『寄生虫バオー』は、宿主である橋沢育郎を生命の危険から守るべく、 無敵の肉体に変身させるのだッ! これがッ! 『バオー武装現象(アームド・フェノメノン)』だッ! |
バオー来訪者@ 107頁 | ナレーション | |
「寄生虫バオー」の分泌液は、血管をつたって、細胞組織を変化させ… 皮膚を特殊なプロテクターに変える! 筋肉・骨格・腱に強力なパワーをあたえるッ! これがッ! これがッ! これが『バオー』だッ。 そいつにふれることは、死を意味するッ! アームド・フェノメノンッ! |
バオー来訪者@ 111頁 | ナレーション | |
「バオー」は、男たちの発する殺意のにおいを触覚で感じ…… そのにおいが大嫌いだった。 「バオー」は思った。 「こいつらのにおいを消してやるッ!」 |
バオー来訪者@ 112頁 | ナレーション | |
手首の皮膚が鋭く硬質化した。 これが! バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノン (BAOH. RESKINIHARDEN. SABER. PHENOMENON)だッ! |
バオー来訪者@ 116頁 | ナレーション | |
「バオー」が驚くべき跳躍を見せた時、男は自分の愚かさに気がついた。 『なぜおれは人質なんかとったのだろう? こいつに人質なんてお笑いだ… 「バオー」は人間ではないのだから……。』 |
バオー来訪者@ 132頁 | ドレス機関員 | |
マーチン! アフリカに住む凶暴な猿マンドリルを、霞の目博士が種の改良をおこない、 わたしが戦闘用に訓練したのだッ! 強じんな四肢と高度な知能に加え! 残忍な性格を身につけているッ! マーチンを訓練中、ちょいとこいつに、じゃれつかれ、 さわられただけで、わたしの顔面はメチャメチャさ! しかし、カワイイやつよ…。 |
バオー来訪者@ 142頁 | ナレーション | |
「バオー」が泣けるとしたなら、彼は今、まちがいなく泣いていた! 彼の触覚は今、新たな「におい」を感じとったのだッ! 防衛のための闘いもできずに、生きることを止められた 生き物の「悲しみのにおい」を! |
バオー来訪者A 35頁 | ドルド中佐 | |
おっと! 首からオイルがもれてきた… |
バオー来訪者A 45頁 | 育郎 | |
考えてみれば、いつまでも逃げきれるはずもなかったんだ。 それに、ぼくの体には、なにか得体の知れない 大きな力が宿っているらしい…ならば。 この力で…闘おう……「ドレス」と…… せめてスミレだけは自由にしてやろう。 |
バオー来訪者A 51頁 | 育郎 | |
ぼくの体に宿る得体の知れない「力」。 化け物の「力」。邪悪な「力」。 今まではそうだった…… しかし、この「力」を逆手にとろうッ! せめて、スミレを自由にしてやるためにッ! ああ……! この「力」を自分の意志でコントロールできるなら………! |
バオー来訪者A 62頁 | 育郎 | |
アドレナリンの大量分泌ッ! しかしッ! 育郎自身が攻撃されているわけではないッ! 「バオー」には変身できないッ! やれるかもしれないッ! やらなければならないッ! さあ! ぼくの中の「力」よ! 危険がせまっているぞッ! 助けようとしないのかッ! 化物の「力」を出現してみろッ! 出してみろッ! おまえは人を殺すだけかッ! 現れろッ! 出てこいッ! 出てみろッ! 怪物めッ! |
バオー来訪者A 74頁 | ドルド中佐 | |
エキスプロッシブ弾薬! 弾丸の先端に爆薬が仕込んである炸裂弾だ。 この弾丸の前では、おまえの頭は血のつまった風せん(バルーン)だ! 爆裂するッ! |
バオー来訪者A 82頁 | 育郎 | |
『ドレス』! 宣戦布告だ! いくぞ! おまえたちの所にッ! ぼくは、おまえらにとって、脅威の来訪者となるだろう! |
バオー来訪者A 84頁 | ウォーケン | |
熱いコーヒーはないのか! |
バオー来訪者A 91頁 | 霞の目 | |
ウォーケンは物質の分子を振動させることができる超能力者なのだ! 機械だろうがッ! 石ころだろうがッ! 物質は全て塵に帰る……バオーよ、おまえもだ……。 |
バオー来訪者A 95頁 | 霞の目 | |
「バオー」は、この少女の「におい」をかぐ! サメが数キロ先から、血をかぎつけるように! |
バオー来訪者A 101頁 | 育郎 | |
電気! ぼくの体から電気が発せられている。 バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノン! |
バオー来訪者A 107頁 | ナレーション | |
普通の人間でも、筋肉や神経は、すごく弱いが電気をつくっている。 もし! その筋肉細胞を乾電池をつなぐように、 ひとつ、ひとつ直列状につなぎあわせたとしたら、 ごく弱い電気は、何十万倍、何百万倍の細胞の数の電力となるはずだ! 電気ウナギがそうやって発電するように、 バオーの筋肉もそれができるのだ! ましてや、「バオー」の筋肉細胞は、 ひとつひとつものすごいパワーをもっている。 高圧電流60000ボルトだ!! これがッ、ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノンだ! |
バオー来訪者A 123頁 | ウォーケン | |
ようこそ来訪者。 |
バオー来訪者A 128頁 | 霞の目 | |
ウォーケンは、アメリカ・インディアンの、 今は滅びた一族、スクークム族の最後の生き残り。 あれは、戦士の決闘の化粧! あの血模様には、闘う相手への「尊敬」と「礼儀」…… そして「死」の意味がこめられているという… ウォーケンは、バオーを真の戦士とみとめたのか…!! |
バオー来訪者A 128頁 | ウォーケン | |
殺らいでかッ! 「バオー」! |
バオー来訪者A 136頁 | ウォーケン | |
少年よ、ある種の事がらは、死ぬことより恐ろしい。 おまえの「肉体」や、わたしの「能力」がそれだ…… わたしも、おまえも、同じだ……『化物』だ! この手で直接闇の彼方へ沈めてやろう。 苦しみはもう…ない。 |
バオー来訪者A 157頁 | ナレーション | |
「バオー」は感じていた! スミレのかすかな生命のにおいを。 今なら「バオー」の血で傷を治せる! しかし、爆破時刻がせまる今、生き返らせて何になろう! 死の恐怖を再び味わうだけだ! 育郎は考えた。 『誰に誓った。この少女を助けると、自分に誓った! 望みは捨てない! 自分は最強の生命力を持った生物なのだ!』 |
バオー来訪者A 176頁 | 霞の目 | |
わたしの生み出した「バオー」よ。 もう間に合わん……爆発はここまで来る…… ふふふふ……わしとおまえが死ねば…ドレスの研究もおわりだ… この神秘的な洞窟こそ、わしらの墓場にふさわしかろう!! さらば「バオー」! さらば少年よ! |
バオー来訪者A 179頁 | スミレ | |
育郎は生きている。眠っているだけ……ゆったりと… それは映像(ビジョン)を見たから… 地下洞窟の湖底に、静かに眠っている少年の映像を。 目覚めるわ! きっと……水の中から目覚めるわ… それは、わたしが17歳になった時。 そして再び会える――― それがわたしの映像。 わたしの予知。 |
バオー来訪者A 181頁 | ナレーション | |
少女の輝きのある、愛くるしい微笑みを見て老婆は…… 「将来この子、きっと幸せになるわ……」 ……と思った。 |
魔少年ビーティー 6頁 | 公一 | |
できすぎだ…と言って、お笑いになられるかもしれないが…… ぼくが初めてその少年に会ったのは、 13日の金曜日、13時13分であった。 |
魔少年ビーティー 10頁 | 公一 | |
社会的ダイナマイト、一触即発的、良心罪悪感ゼロ的、 猛毒セリフ的、悪魔的、計画頭脳的、今世紀最大的、 犯罪少年の、身も心も凍りつくエピソードです。 |
魔少年ビーティー 16頁 | ビーティー | |
…おまえらに、ひとつだけはっきり言っておく! いいか! おまえらとぼくは精神的に身分がちがうのだ! ぼくは精神的貴族に位置する! したがって、ぼくへの命令はゆるさんッ! おまえらのようなブタに、命令はされないし、かかわりも持たないッ! |
魔少年ビーティー 20頁 | ビーティー | |
くらわしてやらねばならん! 然るべき報いを! |
魔少年ビーティー 35頁 | ビーティー | |
……といっただけさ……といっただけさ……といっただけさ…… |
魔少年ビーティー 38頁 | 公一 | |
ときどき考えるんですけど…… お金ありますよね……大昔は貝がらとか、石ころだったそうですが。 あれ…最初に考えたの誰なんでしょうか? ……ぼく思うんです…… 最初にペテン師がいて、「これ値うちがあるんだぜ」って…… ペテン師が貝がらを使い始めた…… ペテン師はけっして絶滅しませんね。 |
魔少年ビーティー 86頁 | おじさんX | |
なあーーに、ほんのつまらん賭けでRよ。 |
魔少年ビーティー 130頁 | 西古 | |
熊はな……土をガムみたいにかんで丸めて、 冬眠するとき、虫が入ってこないように、 その土ガムを尻の穴につめるんだぜ。 |
魔少年ビーティー | 公一 | |
ビーティーとは、「B・T」であり、かれのイニシャルです。 とても本名はお教えできません。 |
魔少年ビーティー | 警部 | |
なに? 砂糖をきらしてる? さがしてこい、それでも刑事か? |
魔少年ビーティー | ナレーション | |
ビーティーが耳ををなでるときは――それは、ビーティーのクセだ! きがねとか、良心とかいったものがまるでない考えをしているときなのだ! |
ゴージャス☆アイリン | ナレーション | |
彼女は嘘をつく。 自分の体で―― 頭で考えだした―― 背景の嘘なんかよりは巧みに(ジャン・コクトー) |
ゴージャス☆アイリン | 老人 | |
アイリンお嬢様に報酬はいりませんのじゃ。 家族のいないお嬢様は、永遠の友情のみにもとづいて行動されるのです。 もし、いつか今度は、お嬢様が困った時、 あなたは彼女を助けてくれますか? |
ゴージャス☆アイリン | 主人公 | |
彼女はなりきるんだ…… 暗示にかかりやすい性格。 ガラス細工のように繊細な神経。 彼女は『化粧』をすると……『性格』が変わる…… メイクによって、『別人の性格』がもてる『少女』なのだ。 『変装』では……ない…ぞ。 彼女はなりきってしまうのだ! 恐怖がいち夜にして人を老人にするように。 彼女の精神は、自分の肉体をも微妙に変えるぞ! |
ゴージャス☆アイリン | 主人公 | |
戦いのメイクは、彼女に完璧のプロポーションと、 残忍な殺し屋の性格を与えるぞッ! |
ゴージャス☆アイリン | アイリン | |
化粧とは、古代より儀式への装いであると同時に、 疫病や毒虫からの防御でもありました。 わたしの殺しの化粧も同様! あたしは一方で、自分の心を隠すため化粧をするの。 家族や仲間が死んだ悲しみを隠すため…… 血にひそむ殺し屋の性質を隠すため… そしてすべてを信じる。 心の底からッ。 そして、一方で化粧は、殺し屋の性質と、肉体をひき出す。 |
ゴージャス☆アイリン | アイリン | |
わたしは心の魔術師。 あなたの精神は岩になりました。 精神が岩になれば、肉体も岩になります。 これが『死の舞踏』! 香水のかおり、周囲の空気を動き、光! 一定のリズム! 音! 目の動き、手の動き、足の動き、 ひとつひとつ決まった順序を組み合わせた動作! わたしは戦いを通じ、あなたの心へ暗示信号を送っていました。 『死の舞踏』。 相手の心をあやつるダンス! あなたの精神は、もはやわたしの奴隷ですわ。 |
ゴージャス☆アイリン | アイリン | |
わたし……残酷ですわよ。 |
バージニアによろしく | マット船長 | |
通信……? フン! どうせバカ話しだろ! なあ、はやく切ってくれっ。 おれがリンゴの皮むく サクサクって音、きらいなの知ってるだろ? |
武装ポーカー | 保安官 | |
これからわたしが話すふたりのガンマンの話しは…… わたしがこの目で実際に見た話です。 この話には、だれでも知ってるポーカーというトランプゲームが出てきます。 ポーカーのおもしろいところは、かけ金を自分の札と相手の顔色を見ながら たがいに、どんどんつりあげていくところにあります…… それははったりをかまして、相手をゲームからおろさせたり…… ときにはかけ金をとんでもない額までつりあげたりします。 それではお話ししましょう。 「武装ポーカー」です…… |
武装ポーカー | ペキンパー | |
だがね! おれは、もっとすばやいし、かしこいんだ! |
武装ポーカー | ペキンパー&マイク | |
おたく、この町についたばかりと言ったが、どこからきたんだい? 「わすれました。」 わすれたか…わすれるということは、スバらしいことだ。 どこからきたか、おぼえてるってことは、 昨晩、なにをくったかおぼえていることと、同じくらいくだらないことだな… 「昨晩はビーフシチューをたべました。」 へへ! へへ!ハハハ… おたく、けっこうユーモアのセンスあるじゃないか。 |
死刑執行中脱獄進行中 | 囚人27号 | |
オレは…人をだますかもしれないが、だまされるのは大嫌いだ。 オレを「処刑」しようとしているヤツらめ… もー、てめーらのたりねえオツムにひっかかるもんかよ。 この穴にオレが大喜びで首をつっこんで、外に出ようとしたとたん。 ギロチンの刃がストーン! そんなこったろう! だまされねーぜ、ボケナスどもめ… でも、冬が終わって、ポカポカ陽気で畑に菜の花が咲き乱れて、 蝶なんかが飛んでるのを「穴」から見られる日には、 おもいきって外に出てみようかな? どうしようかな? なあーーんて思うときもある。 処刑されはじめてから50年… オレはずっと穴から外を見ている。 いつか脱獄してやる…ざまあみろ、ボケなすどもめ。 |
岸辺露伴は動かない | 岸部露伴 | |
ま……知ってるヤツが多かろーが、少なかろうが、どうでもいいことだが、 ぼくの名は、岸辺露伴。マンガ家だ。 以前、ぼくは「ピンクダークの少年」という作品を、 少年ジャンプに連載していたことがあり…… あの傑作を読んでいないからって、編集部に電話するのはやめてくれ。 ま…ある事故による、ちょっとした負傷のため、 執筆をひと夏ほど中断したことがあったんだ。 その中断期間中、ストーリー新展開の取材のため、 ぼくはイタリア旅行に行き、ヴェネツィアに8日間ほど滞在したことがあった。 これからここに紹介するエピソードは、 その時にこの岸部露伴が偶然取材した不思議な話しであり、 『実際に、この耳で聞いた』恐怖の出来事なのだ。 |
岸部露伴は動かない | 浮浪者 | |
オレは今ッ! 暗い海よりも深い「絶望」の中にいる! おまえに与えられてな! え? オレは忘れねえッ! てめーの顔は決してッ! この報いはッ! 償わせてやるッ! 必ずッ! オレは戻って来るッ! おまえが「幸せの絶頂の時」。必ずッ! おまえを迎えに戻ってくるぜッ! いいなッ! |
岸部露伴は動かない | 岸部露伴 | |
これがわたしがイタリア取材中に体験した恐怖のエピソードの全てです。 このあと彼がどうなったのか…この岸辺露伴はまだ知らない… 来年か、さ来年…また彼に会いに取材に来てみるのもいいかもしれない。 怨霊に取り憑かれてもあきらめず、孤独に人生を前向きに生きる男… 彼は悪人だと思うが、そこのところは尊敬できる… そう思うのは、ぼくだけかもしれないが… |
デッドマンズQ | 吉良吉影 | |
わたしはときどき自分の生活について考える。 死んで「魂」だけになる前は、自分の「価値観の中心」は数字だった。 稼ぐ金額は他人より多い数字、成績の順位は他人よりも少ない数字。 新幹線は一分でも速くだし、年齢は一歳でも若くだ。 髪の毛は一本でも多く、体脂肪率は20%以下。 じゃあ、今はなにに価値を見い出せば心が落ち着くのだ? 速い電車なんか乗りたかないし、養毛剤もいらねー。 |
デッドマンズQ | 吉良吉影 | |
わたしはときどき考える…。 いや― いつもかもな……どこかにヒントはないものかと考える。 『母親が子供を生む』…… その場合だ…… 赤んぼうの魂ってのは、どこからやって来るのだろうか? 母親の魂が細胞のように分裂して、成長して来たのがあのガキの魂なのか? ……それとも。 ―やはり― みんなの言うように、『あの世』ってのがどこかにあって、 そこから母親のところにやって来たのが、あのガキなのか? それはこの『宇宙の法則』なのか? それが確実にわかれば、わたしのこれからの『生活』にも、 キチッっとした目的が立てられるだろうに… |
デッドマンズQ | 吉良吉影 | |
おおっ! 竹久夢二か? これ! マジィ!? 本物か!? いや、絵の幽霊だけど。 「ダンテの新曲」 「ああ無情」 宮沢賢治に江戸川乱歩。 やった、こりゃまったくスゴイぞ。 作品は古いが、これなら電車の中でも、公園のベンチでもどこでも読める! こりゃ、もらって帰らねー手はない。 食器や道具類もある。 このナイフは使えるぞ! どもでも持ち歩ける。 夢のような家だ…。宝の山だなここはッ! |
デッドマンズQ | 吉良吉影 | |
ちょ……直感だが…わかりかけてきた。 この「生まれたもの」は『掃除屋』だ…… 『掃除屋』はどんな世界にでもいる……どこででも必要なものだ…… 「魂の掃除屋」… この世が死人の魂であふれかえらないように、清掃する役目… それがこいつらだ! 「掃除」されたものはどうなる?…… 「あの世」へ行ける? そんなものがあるのか? こいつらはどこから来たんだ? |
デッドマンズQ | 吉良吉影 | |
わたしの名前は「吉良吉影」。 いつ…なぜ、わたしが死んだのかは、どうしても思い出せない。 ひとつだけ言えることは、自分は決して天国へは 行けないだろうという実感があるだけだ。 これからどうするのか? それもわからない…… ただ…永遠に時が続くというのなら…… 「仕事」を「生きがい」にしておけば、「幸福」になれるかもしれない…… |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
ナレーション | |
1906年4月18日の早朝。 アメリカ西海岸を襲った大地震は、マグニチュード7.8。 サンフランシスコの街並を壊滅状態にした… そして記録によると、サラ・ウィンチェスター夫人は、 崩れた自分の寝室に数時間も閉じ込められてしまった。 5〜7階部分の天井がぬけ落ち、壁が内側に倒れ込み、 柱や家具が逃げ道をふさいだ。 なによりも彼女の家は、迷路のような間取りの巨大な館だったため、 助けを呼ぶ声が、救助の者に聞こえなかったのである。 |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
ナレーション | |
この建設中の館の主人の名前は『サラ・P・ウィンチェスター』 だが、この館は新築中の邸宅ではない。 すでに22年も前から作り続けられている館だ。 昼も夜も決して「釘の音」をとぎれさせる事のない増築され続ける城館。 主人のサラ・P・ウィンチェスター夫人は、 一族から莫大な遺産を相続した富豪の未亡人。 しかも彼女が他人にまかせた会社からは、 未だに一日あたり1000ドル以上(現在の金額で約300万円)の収入がある。 彼女は自分たったひとりが住むだけのためにこの館を立て続け、 その財産を使い続けた。 |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
占い師 | |
自ら命を絶つ者は、『愛する魂』の存在を否定する者。 あの世で愛する者の魂と再会する事は、絶対にない。 |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
占い師 | |
もし、あなたが経済的にゆとりがある方なら、 西の果ての地に『美しい家』を建てなさい。 そして、決して完成させる事なく、昼も夜も作り続けなさい。 |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
占い師 | |
人は死ぬと霊体というものになる。 だが、その霊体には、清く良い霊もいるが、 恨みをいだいてドス黒くなった悪い霊体もいる。 ヤツらは、あなたを自殺に追い込もうとしている。 ヤツらはあんたを『愛する家族』に会わせないためにね! ヤツらは『入り口』から入ってくるッ! それは防げない! ヤツらが来ても迷うような、家を建設するのです! あなたは良い精霊も悪霊も受け入れはするが、決して見つかってはならない! 見つかったら、やられてしまう! それと、これからあなたは、その素顔をもう誰にも見せてはなりません。 生きてる人間だろうと、死んだ者だろうと、 『顔』を覚えさせてはならないッ! |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
ナレーション | |
1861年。奴隷の開放を主張するE・リンカーンが大統領になると、 農産業のため、奴隷の必要性に固執する南部諸州は合衆国より離脱! 『南北戦争』が始まった。 この戦争で「北部」を勝利に導いたのが、 開発された兵器『ウィンチェスターライフル銃の原型』 従来のライフル銃は、一発ずつ弾丸をこめて撃つという方式をとっていたのだが、 タイラー・ヘンリーという男が、ハンドリング・アクションという、 連発可能な方式を発明。 それをウィリアムの父、オリバー・F・ウィンチェスターが故障のリスクなしの 13連発の名銃にして、巨満を築いていった。 そして、それはつまり、多くの死傷者を出した兵器という事実でもある! 西部の開拓者や、国の平和も守ったが、 また多くの人種や家族たちを悲しみにおとし入れた銃! サラは霊媒師の忠告を信じ込んだ。 |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
ナレーション | |
最初8部屋から始まったサラ・ウィンチェスターの館は、 迷路のように作り続けられ、最終的には、160の部屋数。 2000枚のドア。10000以上の窓。47の違うデザインの暖炉。 40の階段。40の寝室。6つの金庫室。 しかし、この広さで存在する鏡は、たったの2枚。 しかも、彼女は霊的に「13」という数にとてもこだわり、 階段の段数は13ステップ。 全13の浴室で、そこの窓の数13。 一部の天井のパネルの数13。キッチンの排水口の数13。 煙の出ない煙突。火をつけると、煙が部屋の中に戻ってくる暖炉。 登っていくと、天井につきあたる階段。 床に立てるドア。開けると壁という窓は数百枚以上。 段数13の階段を途中7回曲がって、登らされると、 最後の一段は高さが3メートル。 やっと部屋があったと思って開けると、そこは3階の外! というドア。 どこへもたどりつけない廊下。 隠し通路。隠し部屋。家具の奥が次の部屋。 真夜中の1時と2時にだけ鳴る巨大鐘楼。 しかも、天文台が並設され、星を観測して時間を知る仕組み。 この館に過去泥棒が入った事は一度もなく、 現在もで、地図を携帯したツアーガイドなしでは、 ここに入る者は、一生出て来れなくなる。 |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
ナレーション | |
…サラ・ウィンチェスターの館は、7階建てだったが、 この地震のあと、4階より高く拡張されることはなかった… そしてある人はこういう…… 『サラ・ウィンチェスターは、霊媒師にだまされ、 無駄な事に大金と時間をつぎ込んだ』…と。 もっと違う事に金を使えば、 彼女はより幸福な人生を歩めたのかもしれない…と。 だが、幸福とはなんなのだろうか……? …たとえば、サラは決して一度も開催される事のなかった、 美しいダンスホールをなぜ作ったのか…? もしかすると彼女は……いつの日か……娘と夫の魂と再会して… このホールで家族でダンスをする事を、 心の中に想い描いていたのかもしれない…… |
ウィンチェスター・ ミステリー・ハウス |
ナレーション | |
この館は、永遠のモニュメントである! この館は39年間、昼も夜も増築され続けた。 そして、サラ・P・ウィンチェスターは、関節炎をわずらったものの、 長生きをし、82歳でこの世を去った。 1922年。釘を打つ音は、この時ようやく天界の音楽となった。 |