前回のあらすじ













千影「私がシスプリ人気No'1、千影である!






咲耶「一番人気よりNo'2!これが私の人生哲学、モンクあるの?





可憐「ショタとチェキさえいなければ、人気No'3です。手屁っ





鈴凛「万年人気最下位だけど、見捨てないでね、アニキ………




うづき「ザ・いもうと!!!「癒し系」は数あれど、やはり身内の温かさに勝るものはありません!!
    ここ殺シアムには「妹」に対する異常な憧憬と執着を見せる癒されない人たちが三百人も終結しました。
    ブサイクやコギャル、彼氏持ちなどは、戸籍が認めてもうづき達は認めません!!」

鈴凛 「しかし…ブスだの、認めないだのと、いったい妹を何だと思ってるのよ……。」


うづき「とゆーわけで、ロリ担当であるこのうづきにとって、みなづきちゃんは最大の脅威なのです!」

さつき「そう!なんかよく知らねーが、妹属性ってゆーのはオレ達にとって非常にヤバイらしい。
    ってことでチトセ、オマエがどっちかに決めるんだ!」

チトセ「なぬーーーーーーーーっ!!」

みなづき「あ、あの〜……前回と話がかなり飛んでいるんですけど…。」


だが、みなづき以外(鈴凛はもう聞いていない)はそんなことは気にしていなかった。


うづき「さあチトセくん、すべてはキミの意志に任せるわよ!!」
さつき「もちろんオレ達だよな〜、なぁ、チトセ〜〜〜!」

チトセはさつきママに頭をわしづかみにされて悶絶していた。

みなづき「……話がよく見えないんですけど…。」


みなづきは2人の会話についていけなかった。


チトセ「ええい、さっきから聞いてれば勝手なこと言いやがって、俺の意志はどーでもいいのかッ!!」

ベシべし!
さつき「だーからどっちにすっか、お前が決めろっつってんだよ!!」

うづき「さあて、はたしてチトセくんは5人の愛情溢れるママ達を選ぶのか、
    それとも、幼き頃に苦楽を共にした声が亞里亞 妹を選ぶのか、人生最大の選択だァッ!!」

みなづき「…お兄ちゃん、大丈夫…?」

さつきママにどつかれすぎて、頭から煙すら立ち上っているチトセを心配そうに見ていた。

チトセ「ぐぬぬ…………」

グッ!
チトセ「とあッ!!」

チトセは最後の力を振り絞り、さつきママから逃れていた。
縛られたままだったので、芋虫走行で格好悪くもがいていたが……。

チトセ「…ったく、いい加減にしろよ!どっちかなんて決められるはずねぇだろッ!!
    俺にとってなぁ……俺にとって、みなづきも、ママ達も………」


みんな大切な俺の家族なんだからなっ!!


おおーーーーっ!
観客が意味もなく声を上げていた。

みなづき「お兄ちゃん……。みな、なんだかよくわからないけど、お兄ちゃんはみんなのことが大好きなんだよね。」

さつき「チトセ……そうだよな、オレ達は家族だったんだよな…。ごめんよ、気づかなくて。」

うづき「なんかよくわからないうちに、一気に仲良しモードに!さっすがチトセくん。そこにシビれる、あこがれるゥ!」

パチパチパチパチパチ
感動的な舞台に向けて、観客席からは惜しみない拍手が送られていた。
家族っていいなぁ、と再認識される物語であった。

咲耶「よかったわねぇ、みんなで仲良く暮らせるようになって。」
千影「こいつは涙なしでは………見られないほど感動的だね………。」

2人は涙を堪えながら、ママ先生たちに感動の拍手を送っていた。
アリガトウ、アリガトウ。 感動をアリガトウ。

チトセ「…つーか、俺たち何しに来たんだよ……」

鈴凛 「…あ……?やっと終わったの……?」

ともあれ、殺シアムは感動のまま幕を閉じたのであった。

メデタシ、メデタシ




その後2人は1階に降りて、カフェで軽食を取ることにした。
鈴凛は必死になってうづきママのサインを貰おうとしている可憐を引きずって、後を追っていった。

可憐「可憐、うづきママのサイン欲しかったです…。くすん……。」

喫茶店「PiaキャロットX号店」
かわいい制服が人気で、連日男性客が押し寄せて以下自粛。

ぱくぱく、うぐぅ
咲耶はたいやきをほおばりながら、コーヒーで流し込んでいた。

咲耶「妹属性ってさぁ〜〜〜………あるわよね。あれってさぁーッ、ロリな妹も許容範囲なわけ?」

千影「ああ?………そいつはダメだろーね……。ロリはあくまで……ロリ属性だからね…。
   ちかとか言ってるヤツも……きっとダメだろうね……。」

咲耶「へえええ〜〜〜!!みなづきもダメ〜〜〜〜?でも、それでガマンできるわけ?」


千影はピッツァ・マルガリータを一口食べて、ワインを味わっていた。


咲耶「じゃあさじゃあさ、やつら『はじるす』とかはどうしてるの?妹じゃない。」

千影「それは当然……妹がカワイイっていうなら……『未来にキスを』とかやってるんだろうね……。」

咲耶「うっへェー、そりゃ気合が入ってるわッ。妹属性とロリ属性の差別化は難しいわね。」


パクパク、ムシャムシャ


咲耶「ところで…………気づいてるわよね。」


咲耶は唐突に話を切り出した。


千影「ああ……さっきから感じている視線だね……。」

鈴凛(ゲッ……バレてる……?)


鈴凛は一応、2人の死角にいるつもりであったが、長い間視線を送り続けていたので気づかれたようだった。


千影「……そう……例えばそいつが既にこのピザに……毒を仕込んでいたとすれば……」

毒……?

鈴凛はぎょっとした。
先ほどペットショップで、可憐がヤドクカエルの毒を抽出したのを思い出していたのだ。


鈴凛(ちょっと可憐ちゃん。まさかさっきの毒をあのピザに塗りこんだわけじゃないわよね?)

ぱくぱく

可憐「♪ま〜だ少しね〜むい〜 ま〜ぶたをくすぐる〜 う〜まれたての光、ステキな朝〜♪」


と可憐はイチゴサンデーを食べながら、自分の持ち歌を歌っていた。


鈴凛(マズイわ、この娘天然だわ………)


咲耶「まさかねぇ〜、毒なんか入ってるわけないわよねぇ。」

と、咲耶が片手にコーヒーを持っている時、


ドン!
見知らぬ人が咲耶にぶつかって、コーヒーがその男のスーツにかかってしまった。

「あっ!!てっ…てめーっ、なにしやがるんだッ!!オッ、オッ、オレのスーツにシミがッ!こ…こぼしやがったッ!」

咲耶「あ…?」

怒った男は咲耶に掴みかかってきた。


ガシ!
「どうしてくれんだッ!この堀江声!!ブツかって来やがってぇッ!弁償できんのかッ!50万のスーツなんだぞ、表に出ろッーーーッ!」


男は怒り狂っていたが、咲耶は慌てもせずにコーヒーカップを置くと、


ドグシャア!
と、アゴに渾身のアッパーカットを喰らわせていた。


咲耶「敵ね、あなた。」
千影「なに!」

千影も立ち上がって、咲耶の一撃をまともに喰らって悶絶している男にストンピングしていた。

ゲシッ、ゲシッ、ゲシッ!
咲耶「敵かッ!敵かッ!敵かッ!敵かッ!」


ドゴオ、ドゴ、ドガ、ドゴッ!
千影「くらえ!くらえッ!おらっ、おらっ、おらっ!」



ドゴォ!
千影「まて、咲耶ちゃん……こいつは敵ではないようだ……ただの罪のない一般人だよ、これは……。」

咲耶「え、本当なの!やばいわよ、私どうしよう、弁償なんてできなわよ。」

千影「これかい……うーむ、たしかにこのシミは取りにくいね………白いスーツに一滴のコーヒーは目立つね……
   だが、ラッキーな事に……この位置なら、ボタンに見えないこともない……ボタンをつければ隠せるよ……」

咲耶「そう、まあ……しょうがないわね。ついでにこの人に『毒味』させてから、食べましょう。」


咲耶は男の口にたいやきを無理矢理詰め込み、窒息死させる寸前でやめておいた。




鈴凛「な…なんて、デンジャーなヤツらなの………。」

遠くから2人の様子を見て驚愕していた。

鈴凛の本来の目的は、咲耶と千影を再起不能にすることだったが、
間合いに入っただけで問答無用に叩きのめされる可能性が大いにあった。
やっぱりやめておけばよかったと、今さらながら後悔していた。
どうしようか悩んでいた時、可憐が無言で手を挙げていた。


可憐「はいはいはい、鈴凛ちゃん。2人を無間地獄に叩き落す、ベリッシモナイスなアイデアを思いつきました。」


可憐は右手の人差し指と、左手の親指を目のそばにもっていき、
イタリアナポリ方式、世界のフィンガー『くたばりやがれ』のポーズをとっていた。


鈴凛「…ブレーンストーミングとして、意見だけは聞いておくわよ。」

全く期待はしていなかったが、このまま何もしないよりはましだった。


可憐「えっとですね、この本によると占いによって未来を予知できるそうですよ。」


先ほど買ったインチキくさい占いの本を鈴凛に見せた。


鈴凛「…何?このイワシ占いってのは……。」
可憐「もちろん、イワシを使って占うんですよ。古来中国に伝わる占いで、他にも薪占いとかありますよ。」


と、可憐はどこからかイワシを取り出し、怪しげな踊りを舞い始めた。


可憐「イワシ〜、イワシ〜。


イワシ占いとは、殷の時代に活躍した太公望という仙人によって編み出されたものであった。
イワシをただ放り投げて、電波によって声が聞こえてくるという、可憐にしか出来ない技術である。


鈴凛「…それで何が出来るのよ?」


ひたすらイワシを投げている可憐に問い掛けたが、イワシを投げるのに夢中で聞いていなかった。
そして、可憐の動きがピタっと止まった。


可憐「きたきたきたきたきたきたきたきたきたーーーーーっ!!


いきなり何かに取り付かれたように叫び出し、何かを語り始めた。


可憐「可憐です、こんにちは。
   こっちは鈴凛ちゃん。とっても守銭奴でイヤなヤツ…。手屁っ。
   可憐はお兄ちゃんをストーキングするのに忙しいですが、鞠絵ちゃんが同人誌をくれるって言ったので、
   せいいっぱい勇気をだして、鈴凛ちゃんとコンビを組むことにしました。
   そして遂に追い詰めたぞ!咲耶ちゃん、千影ちゃん。
   チクショー!ちっとも隙がないじゃないの、この葉鍵コンビ!
   早いトコ、このビッグマグナムを喰らわせてやるわよ
   鈴凛はドロドロに思いました。
   お兄ちゃん、大チェキーーーーーーッ
   可憐もブリブリ思いました。
   でも、鈴凛ちゃん。商店街でビッグマグナムを使うことを考えてはいけません。
   さあ!鈴凛ちゃん、千影ちゃんのスカートをめくりーの!するとォ!
   やったーッ!血を流して気絶だッ!ラッキー、鈴凛ちゃん!再起不能のチャンス到来だーーッ


鈴凛「にゃんじゃああ〜〜〜ッ、それは!?」


鈴凛は可憐の襟を掴み、ガクガクと揺さぶっていた。


鈴凛「ふざけるんじゃないわよッ、それのどこが予知よ可憐ちゃん!そんなことが起きるわけがないでしょッ!」


にぱぱっ

可憐「可憐のイワシ占いは、完璧であーる!」

鈴凛「…あたしにはとても信じられないわよッ!こんなバカげた事がッ!こ…これから起きるわけがない!」

可憐「か〜れ〜ん〜の〜……」

鈴凛「『可憐のイワシ占いは、悲劇をもって終わるのであーる!』そういいたいんでしょ!」

可憐「EXACTRY(そのとおりでございます)!」


鈴凛はとりあえず可憐から手を離したが、落ちつける状態ではなかった。


鈴凛「千影ちゃんのスカートをめくるですって!?フザけないで!……というのはこの点よ!
   仮にあの千影ちゃんのスカートをめくるほど接近できるならよッ!可憐ちゃん。」


カシィン!

鈴凛は右手をアルター化し可憐に突きつけた。


鈴凛「この『ビッグマグナム』をヤツらにブチこんだほうが、確実で、手っとり早いわよッ!違う!?」

可憐「ねぇねぇ、鈴凛ちゃん。2人とももう出て行っちゃったよ。」
鈴凛「え!?」

入り口の方を見ると、既に2人は勘定を済ませて外へ出ていた。
鈴凛はあわてて可憐を引きずると、2人の後を追って店を出て行った。

鈴凛は2人を追いかけて急いで後を追ったのだが、曲がり角を曲がったところで異変に気づいた。


鈴凛「はっ!」


突然、咲耶の横を歩いていた千影が消えてしまった。


鈴凛「千影ちゃんがいないわよ……ちょっと、千影ちゃんはどこ…?いつの間にかいなくなってるわよ……」


と、そこで鈴凛は自分が置かれた状況に気づいた。

鈴凛(しまった!まさかッ!)



ス……
千影「動くな……ブスリといくよ。」


鈴凛「! ち…千影ちゃん!」


振り返りざまに右手をアルター化し、迎撃しようと試みたのだが、一瞬遅かった。


ドガァ!
鈴凛「ぐっ!」


思いきり背中に裏拳を入れられて、壁に叩きつけられた。
千影の腕にはリスキニハーデンセイバーが装着されていて、首に突きつけられていた。


千影「フフフ……手くせの悪いことをするんじゃあないよ………腕は私に見えるようにするんだ……。」


力が抜けたところで後ろ手にして、ガッチリと腕を極めていた。


千影「ハイエナのように……尾行しているヤツがいると思ったら………これはこれは、鈴凛ちゃんじゃあないか……。」


鈴凛は必死になってもがいていたが、逃げることはできなかった。
そういえばと可憐の方を見ると、可憐はいつの間にかダンボールの下に隠れていた。

千影「ひとりじゃないね……確かに視線は2つあった……。近くに仲間がいるだろう……?」

鈴凛(はっ!)


可憐の隠れているダンボールをよく見ると、少しだけ髪の毛が外に出ていた。

鈴凛(見えてるわよ〜〜〜、可憐ちゃんの髪がァ〜〜っ)

と、鈴凛の意志が伝わったのか、髪の毛はすぐに引っ込んだ。
だが、それも千影にしっかりと見られていた。




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




にやそ
千影「そうか………そこのダンボールにいるんだね………。」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




咲耶「千影ちゃん、尾行してたヤツは見つかったの!?」

鈴凛(ヤバイ!咲耶ちゃんの声だァ〜〜〜、マジなの〜〜!!)


鈴凛は追い詰められ、とうとう覚悟を決めた。

鈴凛(ちいっ!やってやるわよ!やればいいんでしょ!)


千影「ダンボールに隠れているヤツ……出てくるんだ……。」


一瞬千影が鈴凛から目を離し、わずかに隙が生じた。


鈴凛(あっ、チャンス!向こうを向いたわ!)


鈴凛はその隙を逃さず、千影のスカートに手をかけた。


千影「なに!」


バサァッ!
そして一気にスカートをめくり上げた。






シィィーーーーーーン






数秒、時が止まった。
鈴凛の手は、千影のスカートを上げたまま止まっている。
千影もあまりの突然のことに、すぐには反応できなかった。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



鈴凛「………くぅ……………。」
千影「…………………………?」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



さあ!鈴凛ちゃん、千影ちゃんのスカートをめくりーの!
やったーッ!血を流して気絶だッ!



ピキィーーーーーーーン


千影「なんの………マネだい………?…鈴凛ちゃん……。」


千影はまだ硬直したままだった。
鈴凛も、スカートの中のいちご柄の下着を凝視するも、突っ込める状態ではなかった。


鈴凛(可憐ちゃんの言うとおり、スカートをめくったのはいいけど……この後のフォローはどうすればいいのよ……。)


コツコツコツ
咲耶「どうしたの千影ちゃん。返事がないわね。尾行していたヤツはいたの?」

鈴凛(やばいッ!咲耶ちゃんが近づいて来るッ!)


千影はようやく硬直がとけ、攻撃の態勢をとっていた。


千影「バオー・ブレイク・ダーク………」
鈴凛「おお〜〜〜っと!」


今度は鈴凛が一瞬早く、アルター化した腕を突きつけた。


千影「……しまった……。」
鈴凛「や…やった!あたしの方が早い!う…動くんじゃないわよッ。」


コツコツコツ
咲耶はもうすぐそこまで迫っていた。


咲耶「ちょっと!聞こえてるの!?千影ちゃん!?」


2人がいる角を曲がろうとすると、そこから千影が現れた。
ただし、後ろから鈴凛が押さえつけていて、身動きは取れなかった。


咲耶「なあんだ、そこにいるんじゃあないの。尾行者はやはりいたの?」
千影「び……尾行者はいなかった……私の気のせいだったよ……。」


ヘタに行動ができないので、ひとまず鈴凛のいうとおりにするしかなかった。


鈴凛(マズイ〜〜〜ッ、お…お…追いつめられちゃったわよ。千影ちゃんのスカートをめくれば、
   2人をやっつけるラッキーチャンスがくるだって〜っ。その逆よォーッ、このザマはァーーッ。)

咲耶「そう……ところで、そんなスミで何やってんの?」
千影「…………………」

ゴリゴリ
鈴凛は千影の頭に右手を強く押し付けた。


ゴリッ
鈴凛(はき忘れたって言うのよ!はき忘れよ、はき忘れ!)


千影「ちょ……ちょっとはき忘れたんだよ………。」
咲耶「なんですって……?やれやれだわ、私だって最近はしないのに。ハズかしいヤツ。」


千影はなんとか恥辱に耐えながらも、思索を練っていた。


千影(チッ……人の頭をゴリゴリ押し付けて………。
   …そうだ……いちかばちか、アレをやってみよう………。)


いつでも反撃が出来るようにして、意を決して行動に出た。


千影「やあ………兄くんじゃないか………。」

咲耶「え!?」
鈴凛(え!?)


千影はいきなり目線をそらし、ハッタリにでた。
もちろんそこに兄の姿はなかったが、それによって鈴凛に一瞬のスキができた。


千影「スキあり………」


と、鈴凛の服を掴み、一気に背負い投げた。

ドゴォ!
鈴凛「キャアァァ!!」

咲耶「鈴凛ちゃん!?」


地面に叩きつけられ、鈴凛は絶対絶命の窮地に立たされた。


鈴凛(そんなばかなぁ〜〜。可憐ちゃんの言うとおりにスカートをめくったのにィ……
   可憐ちゃんとコンビを組むんじゃなかったわ。まさに崖っぷちのマクスフェルよッ。)


恨めしく可憐の方を見たが、もはやどうすることも出来なかった。


咲耶「へぇ、今度の敵は鈴凛ちゃんかぁ……。
   スクライドネタできても、私たちスクライドはほとんど見たことないのよねぇ。」

千影「コミック版は……サクラテツ並にヘタレだったしね………よく4巻も出せたよ……。」


とにかく言いたい放題だったが、事実そのとおりなので鈴凛は言い返すことが出来なかった。

ガタガタ
突然可憐が隠れているダンボールが動き出した。


咲耶「!」
千影「!」

2人はとっさに身構え、相手の様子を伺っていた。
そしてダンボールの中から叫び声が聞こえてきた。


可憐「助けてぇッ!!可憐の…


   スーパーピンチクラッシャァァァァァッ!!!!」


スーパーピンチクラッシャーは、ピンチバードと融合する事によりグレートピンチクラッシャーに変形するのだッ!!
最終兵器『ラストチャンスソード』は一撃必殺の威力!

どうです、カッコいいと思いませんか?サクマさぁん。

咲耶「咲耶です!

んあ〜ぁ、すいませ〜ん




と、その時、遠くから地響きが聞こえてきた。




ドドドドドド



ドドドドドドドドドド



ドドドドドドドドドドドドド




咲耶と千影が振り向くと、すぐ目の前に可憐が乗ってきた馬が突進してきた。


咲耶「えっ!?」
千影「なっ!?」


2人はとっさに避けようとしたが、既に遅かった。
避けきれずにモロに馬の突進をくらってしまった。




ドゴォーン!




2人は叫び声を上げる暇もなく、数メートル吹っ飛ばされた。
鈴凛は2人よりわずかに離れていたので、ギリギリ被害を被ることはなかった。


鈴凛「こ…これは……。い…いくらあの2人でも、突然すぎて避けることが出来なかったんだ……。
   スカートをめくったら、占い通りになった!信じられない!」

可憐「この可憐こそが、占いの神なのであーる。次の占いをおったのしみに


可憐は再びイワシを取り出し、占いモードに入っていた。


可憐「イワシ〜、イワシ〜、ムキエビー!


鈴凛はムキエビと聞いて、かっぱえびせんのことわざクイズは、どうしてあんなウソ教えるのか理解出来ないことを思い出した。
ウソ教える(・A・)イクナイ!!

そんなことを考えながら可憐の占いの結果を待っていた。


可憐「やったァーッ!2人を再起不能にするチャンス到来だッ!
   しかし、気をつけましょう、隠れて様子を見るのです。2人に近づくのはまだ早い!
   咲耶ちゃんは気を失ったが、千影ちゃんは気を失っていない!立ち上がりますよ。


鈴凛「

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


千影は何とか受身を取っていたので、吹っ飛ばされたにもかかわらず気を失うことはなかった。
頭から流血していたが、それでもようやく立ち上がった。


鈴凛「く…くう。千影ちゃんは一瞬早く避けていたのか。うっかり近づいていたら反撃されるところだったわ。」


キョロキョロ 千影は必死に辺りを見回していた。


鈴凛「あたしを探しているわね。とどめを刺そうとせずに、いなくなったことを疑問に思ってるみたいね。
   で、次はどうすればいいの!?MSを作れって言ったら作るし、スクライドだって全巻買ってもいいわよ!」


可憐は続けて占いに入っていた。



可憐「さあ!次なる鈴凛ちゃんの攻撃はクライマックスだーッ!
   鈴凛ちゃんはG'sマガジンを見つけました。
   そしてハガキを書いてメディアワークスに送るんです!
   鈴凛ちゃんが美少女人気キャラクターランキングで一位になれば………
   ウオオン!硬くて太い『ビッグマグナム』が命中だーーーッ!



鈴凛「ちょっと待てーーーーッ!!」

可憐をガクガク揺さぶり、激しく抗議していた。


鈴凛「それって、限りなく不可能に近くない!?組織票を使わない限り無理だって!!」

可憐「でも、7月号では花穂ちゃんがズルして一位になってましたよ。」

鈴凛「いや、ズルっていうか……それこそ組織票なのでは……。」


ともかく可憐の占いは絶対なので、どうすれば人気一位になれるか思案していた。


考えて、考えて、考えて、考えて、考えて、考えて………


一つの答えが出た。


鈴凛「メディアワークスのサーバに進入して、データを改ざんする……。」


きさらぎママとなんら変わらない答えだった。
その時、可憐が急にあわただしく鈴凛に言ってきた。


可憐「あの〜、鈴凛ちゃん。突然だけど、可憐お兄ちゃんの所に行かなきゃならないの。
   ごめんね、ホント。生きてたらまた会おうね。それじゃあ、
   ラディカル・グッド・スピィィィィィィィィドッ!!


と、可憐はものすごい勢いで去っていった。


鈴凛「へっ………!?何よ、どうしたの!?」


鈴凛はあっけにとられていたが、すぐにその訳がわかった。


千影「どうやら……可憐ちゃんには逃げられたようだね……。」
咲耶「つぅ〜………一体何なのよォ〜…。血が止まらないわよ……」


頭を強く打った咲耶は急いで止血していたが、少し傷が深かった。
千影は急いで波紋で咲耶の傷を塞いでいた。


可憐(みんな…ごめんなさい…可憐には帰れるところがあるんです……
   こんなに嬉しいことはありません……。鈴凛ちゃんにはいつでも会えるから……)

可憐は世界を縮めながら、鞠絵の病院へと向かって行った。




咲耶「さぁ、おしおきの時間よ。」



2人は鈴凛に歩み寄り、どの技で倒そうか思案していた。


鈴凛「可憐ちゃん!謀ったな!可憐ちゃん!


鈴凛は叫んだが、もはや手遅れだった。


千影「決めたよ……クルダ2000年の歴史を持つ……最高の技で葬ろうではないか……」

千影は流れた血を頬に傷痕のように塗り、全身の闘気を高め始めた。











武技言語開始












千影「我は無敵なり…………


肉体代謝機構全力回転


千影「我が影技にかなうものなし………


咲耶「千影ちゃんが勝つと信じるわ……仲間が信じるならば、クルダの傭兵に―――――
   不可能はない



千影「我が一撃は無敵なり!



鈴凛「はっ!何が影技よ、スキだらけじゃないの。あたしのビッグマグナムで黒こげになるといいわッ!」

鈴凛は右手をアルター化し、千影に向かって照準を合わせた。

鈴凛「喰らえッ!!」

一気にパワーを放出しようとした。
しかし、その時千影の姿が消えた。

鈴凛「!?」


千影は一瞬で鈴凛の背後に回り、天井近くまでジャンプした。
そして一直線に向かって、渾身の蹴りを放った。




             レイピア
千影「クルダ流交殺法影技 『裂破!!』




ドン


鈴凛は影門死殺技をまともにくらい、派手に吹っ飛んでいった。


鈴凛「音が…黒い音だけが後から……黒き咆哮『ブラック・ハウリング
   ………あたしを倒したぐらじゃあ……まだまだよ………。」


そして鈴凛は動かなくなった。


咲耶「決着ゥゥーーーーーーーッ!!」



名前       ――鈴凛――
アルター名 ――ビッグマグナム――
再起不能



千影「心の芯をえぐるような恐怖――でも、それを美々しいものにかえてしまう――
        セヴァール
   それが修練闘士――!!


咲耶「これから敵はクルダ傭兵の真の恐怖を味わうこととなる……
   父や母や兄妹、そして友のために戦う時、我らの力は一騎当千!


こうして一つの闘いが終わった。




バタン!

可憐「おかえり〜〜〜〜〜!!」

鞠絵「可憐ちゃん……外から帰ってきたら『ただいま』って何度言えばわかるんですか?」

可憐「は〜い、ごめんなさ〜い。手屁っ


可憐は鞠絵に注意され、一度部屋を出直した。

バタン!
可憐「バクチが好きだあーーーーーっ!!」

可憐は古すぎるアクションをとりながら、某ギャンブラーのポーズをとっていた。

鞠絵「もういいです……。さて、今作戦の成果を聞きましょうか。」


可憐「えっとですねー、スペクトルマンのDVDが発売されたり、スネイクがカエルに負けるはずがなくて、
   男塾ネタを使って後悔していたり、もっとハピレスを活躍させたかったり、
   スクライドはストレイト・クーガーの独断場だったり、可憐が人気一位になりたかったり、
   影技は別冊アフタヌーンで好評連載中だったりと色々ありましたよ。」


鞠絵は笑顔を保ったままだった。

鞠絵「それで?」

可憐「楽しかったです


鞠絵は天井から下がってきた紐を掴んだ。

鞠絵「そう…それはよかったですね。」

そして思い切り引いた。


ガコッ!

突然可憐のいた床が開き、奈落の底へと落ちていった。


可憐「きゃあああああああああああぁぁぁ!!落ちます落ちます!!
   って、ワニー!ワニー!シャーロットちゃん!」

可憐は穴の底でピンクのワニと闘っているようだった。


鞠絵「ふぅ……」

鞠絵は深い溜め息をつき、次なる作戦を練ることにした。




咲耶「にゃあぁぁぁっ!マズイわッ、味方もう持ちません!」
千影「だからベルファストでは………グラブロを撃破してから、地上で……ズゴックを倒すんだよ……。」
咲耶「そんなこと言ったって、ガンタンクじゃ水中でビームを避けれないわよ!………あっ…味方撃破されました!」
千影「これじゃあ援護に……ならないじゃないか……。」
咲耶「私が焦っているですって!?私は冷静よッ!」


←TO BE CONTINUED





また今回も色んなネタを使ってしまいました。
最後の影技ネタは、ビデオまでひっぱり出してセリフを確認してました。
でも、ちゃんと知ってる人はいるんだろうか……
10年以上連載してるけど、あれって季刊だし……。
とりあえず今回から鞠絵チームVS咲耶&千影という構図が「成り行き上」出来ました。
もう、同人とかどーでもよくなっているかもしれません……。
それと最後の穴ネタは、エクセルサーガだってこと気づいた人いるかな……。


邪悪の化身『鞠絵』
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