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兄が住む街から数十キロ離れたところにそこは存在する。
ここは人里離れたところにある病院。
重い病気にかかっている人や、リハビリをしている人がいる療養所である。
兄の妹である鞠絵もこの病院に入院していた。
その鞠絵に会いに行こうと、鈴凛はその病院へとやってきた。

コツン コツン

4階の病棟の一番奥に鞠絵のいる病室はあった。
鈴凛は部屋の前で立ち止まると壁のネームプレートを確認した。

『428号室 鞠絵』

鈴凛(ここに間違いないわね……)

鈴凛は病室のドアを開け、中へと入ろうとした。

!!

しかし部屋に入る前に、中が真っ暗だということに気づいた。
照明が一つも付いてなく、まさに闇そのものであった。
それでも鈴凛はその部屋の中に入っていった。

鈴凛(それにしても暗いわね、目がなれないわ……)

鈴凛は携帯していた小型のライトを取り出すと、小さな明かりをつけた。

パァァァァァ
さっきよりは少し周りが見えるようになったが、それでも部屋全体は暗闇のままだった。

鈴凛(確かにココよね。鞠絵ちゃんがいるのは……)

ガッ
その時、足に何か当たったような感じがした。
鈴凛は足元を照らすと、そこに数人の男達が倒れていた。

鈴凛「な、なんだ。鞠絵ちゃんの『や○いネタのモルモット』か…」

鞠絵は自らのや○い同人を極めるため、実際の男を使ってネタを求めていた。

鈴凛「この男どもはイヤイヤじゃあなく、自ら喜んでや○いネタになる……とんとわからない心理だわ…。
   それにこの同人誌の山……一体どこから手に入れるのかしら?鞠絵ちゃんに出来ないことはないという感じね。」

鈴凛が足で同人誌をどかしていると……

鞠絵「何か…………用なのですか?」

グオォォォォォォ

部屋から突如、声が聞こえてきた。

鈴凛「鞠絵!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

鈴凛「………ちゃん………」

ハァー、ハァー、ハァー、ハァー
鈴凛は何か言い知れぬ圧迫感に襲われ、全身から冷や汗が出ていた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

鈴凛(ハァハァ……ま…鞠絵ちゃんの前にくるだけで、背骨に氷をつめられた気分になる……
   落ちつけ鈴凛、圧倒されるな。なんてことはないわ!あたしよりほんの少し絵が上手いかもしれないってだけよ!)

鞠絵の声はすぐ近くから聞こえてきた。
ようやく目が慣れてきて、目の前にあるベッドから身を起こしている鞠絵の姿が見えてきた。

鞠絵「何か用があるんですか?ときいているんですけど。鈴凛ちゃん。」

!!
鈴凛「あっ、うっ、そ…その……ほ…報告に来たのよ。
   うちのサークルメンバーの四葉ちゃんと衛ちゃんが、咲耶ちゃんと千影ちゃんによって倒されたそうよ……。」

鞠絵「……………………………」

フーッ
鞠絵はホコリのかぶった本に息を吹きかけた。

鞠絵「それで?」
鈴凛「……………そ…それで…………」

鈴凛は言葉に詰まり、同時に息も詰まりそうな気分になった。

鈴凛「それが報告よ……咲耶ちゃんと千影ちゃんは、じきに私たちの存在にも気づくかもしれないわよ。」

鈴凛はあわてて言葉を見つけたが、暗闇で見えないが、鞠絵の顔は落胆しているように見えた。

鞠絵「それで…といったのは、あなたのことですのよ、鈴凛ちゃん。」

ドキッ
鈴凛「え!?」

鞠絵「あなたはいつ、わたくしのために同人誌を描いてくれるのですか………?鈴凛ちゃん。
   わたくしに忠誠を誓うと言っておいて……まったく描かないではありませんか……。」

ズオォォォォォォォォォ

鞠絵はベッドから身を起こし、鈴凛の目の前まで顔を近づけた。

鞠絵「売り子なら誰でも出来ますわよ。2度も失敗して…逃げ帰ってきましたね…。」
鈴凛「ハァー、ハァー、ハァー、ハァー、ハァー…ううっ……。」

鞠絵が鈴凛の顔を覗き込んでくるが、鈴凛は目を合わせられず下を向くしかなかった。
数秒間その状態が続いて、息が詰まって窒息するかと思った時、ようやく鞠絵は鈴凛から離れた。

鞠絵「うふふっ怖がらなくてもいいですよ、鈴凛ちゃん。わたくしたちは姉妹ではないですか。
   確かに咲耶ちゃんと千影ちゃんは侮れない相手です。わたくしが直接手を下さなくてはならないようですね。」

鈴凛「あ…侮れないというだけで、鞠絵ちゃんが出向くつもりなの……?」

鞠絵「そうですわよ、2人を抱き込むのはもはや不可能。ならばこの手で再起不能にするのがせめてもの情け……
   そのためにも鈴凛ちゃん、あなたの協力が必要なのですよ。」

ゼー、ゼー、ゼー、ゼー、ゼー、ゼー

鈴凛はいまだ冷や汗が止まらず、鞠絵の言うとおりにするしかなかった。
鈴凛が最も好きな事のひとつは『自分が強いと思ってるやつに『NO』と断ってやること』だが、
鞠絵の前では自分の信念を通すことは出来なかった。

鞠絵「人が人を選ぶに当たって………一番『大切』なことはなんだと思います?鈴凛ちゃん。」
鈴凛「?…………一番大切なこと…?」

突然質問されたので、鈴凛は答えを返すことが出来なかった。

鞠絵「それは『信頼』ですのよ、鈴凛ちゃん。人が人を選ぶに当たって、最も大切なのは『信頼』です。それに比べたら、
   才能があるとか、上手な絵が描けるなんてことは、あそこに転がっている『男』ほどの事もないんですよ。」

鞠絵はや○いネタとして使われた男を指してそう言った。

鈴凛(あ…あの鞠絵ちゃんの目……養豚場のブタでもみるかのように冷たい目……残酷な目ね……
   『かわいそうだけど、あしたの朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのね』ってかんじの!)

鞠絵は、ジョセフを地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)に突き落としたリサリサのように冷たい目をしていた。

鞠絵「鈴凛ちゃんにはその『信頼』を試すために、咲耶ちゃんと千影ちゃんを倒してきてもらいます。
   もちろん一人だけではなく、数合わせの助っ人を用意してありますから安心して行って来てください。」

鈴凛「す…助っ人……?誰なの?」
鞠絵「それは行けばわかります。明日の正午、2人がデパートBetty'sに現れます。
   そこで鈴凛ちゃんは、助っ人と協力して彼女達を再起不能にしてきてください…………頼みましたよ。」

鞠絵はそう言い終わると、暗闇の中にも関わらず本を開いていた。
鈴凛にはすぐそばの鞠絵の顔もはっきり見えないのに、鞠絵には本の内容が見えているようだった。

鈴凛(私の信頼を試す……?なめるんじゃないわよ、私はアニキの為だけに行動するだけで、心の底から忠誠を誓ったわけじゃないわよ。)

鈴凛は鞠絵に対して悪態をつくと、そのまま病院を後にした。




そして翌日。
鈴凛は鞠絵に言われた通りデパートBetty'sにやってきた。
街中は夏真っ盛りな上、快晴だったのでかなり蒸し暑かった。
時刻は11時58分。そろそろ助っ人が現れる時間になった。

鈴凛「それにしても、あっついわね〜。ホントに助っ人なんて来るの〜?」

喉が渇いたので自販機でジュースを買おうとしていると、遠くからなにやら大きな音が聞こえてきた。






ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




鈴凛「なッ…!なに、この地響きは!!」






ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ







音はだんだん近づいてきているようだった。
そして次に鈴凛が目にしたのは、予想をはるかに上回るものだった。







ドドドドドドドドドドド







なんと、10m先に巨大な馬が2頭現れたのだった。
しかもその馬は殺気立っていて、暴れ馬と化していた。

ドバッ!ドバッ!グシャ!

「ギャアアア!」
「ぐあっ!」

馬はそこらにいた人間を踏み潰しながら走り続けたが、かろうじて死者はいないらしい。








VAAOOHHHHH!!







馬は雄叫びを上げながら、さらにこっちへと向かってきた。

鈴凛「な…なにこのき…恐竜は。い…いや、馬!馬なの!!」

鈴凛があっけに取られている時、馬の方から声が聞こえてきた。


みなさぁ〜ん、どいてくださぁい。踏み潰されても知らないですよ〜


既に数人、人を踏み潰しているにのかかわらず、その声はのんびりとした口調だった。

鈴凛「そ…その声はまさか……。」

鈴凛にはその声に聞き覚えがあった。


ジャスコ デパートBetty'sに着きましたよ。むつきちゃん、ふみつきちゃん、止まってください


その声が命令すると、馬は鈴凛の目の前で止まった。
馬の上に乗っていたのは、鈴凛が良く知った人物だった。

鈴凛「かっ…可憐ちゃん!?」
可憐「あっ、鈴凛ちゃん。鞠絵ちゃんに言われた通りに来ましたよ。」

可憐は馬から下りると、馬が逃げないように電柱に紐を結んでいた。
もちろん意味はないが。

鈴凛「可憐ちゃん、何なのこの馬は!?」
可憐「あ、これですか?鞠絵ちゃんが餞別にって可憐にくれたんですよ。かわいい馬車でしょ?」

と、可憐は事も無げに馬にニンジンを与えていた。

可憐「この馬は脳に骨針が埋め込まれている吸血馬なの。
   でも、手綱は『波紋』が通るようになっていて、簡単な波紋で操れるんですよ

鈴凛「……………」

鈴凛はもはや何も言えなかった。
とりあえずそのことは置いといて、鈴凛は可憐に今回の目的を伝えた。

可憐「ええっ!?それじゃあ咲耶ちゃんと千影ちゃんは、惑星Eから追放された侵略者なの?」
鈴凛「い…いや、そんなネタ20代の人でも分からないって……。」
可憐「見た目は紳士的でも、顔がゴリラじゃあねぇ……。」
鈴凛「だから、スペクトルマンなんて誰も知らないって……。」

何かいつもの可憐とはちがう感じがするが、2人は咲耶と千影を尾行するために、デパートに入っていった。
外ではさっきの騒動で野次馬が集まっているが、別に気にすることでもないのでほおっておいた。



デパートの中は夏休みということもあって、人の姿が多かった。
この街の商店街には、デパートといえるものはここしかなかったので、客足は途絶えることはなかった。
咲耶と千影も小さいころからこのデパートを利用していて、どこに何の店があるか全部覚えていた。
2人はまずCDショップに寄って新作のCDを眺めていた。

咲耶「う〜ん、最近はどうもしっくりくるものがないわね。」
千影「私は……俗世間の音楽はあまり聞かないが……。」
咲耶「じゃあ、千影ちゃんはどういうのを聴いてるの?」

と、千影は咲耶に聞かれてこう答えた。

にやそ
千影「スペクトルマン…………。」

咲耶「へ……?」

あまりに唐突だったので、間抜けに聞き返してしまった。

咲耶「それってどういう曲なの……?」
千影「惑星Eから追放された悪の科学者が……地球を征服するという歌だよ……。」


パチン
と千影は指をならすと、何故か店内放送で謎の曲がかかってきた。


♪惑星〜Eから〜追放〜された〜 その悔し〜さはわ〜すれはしない
宇宙〜を旅〜して〜目〜についた〜 地球を必ず支配〜する〜♪



ワンコーラスだけかかって、店内はすぐに元の放送に戻っていった。

咲耶「宇宙を旅して目に付いたって、すごいいい加減な決め方ね。」
千影「普段通らない裏道を歩いていたら……『あれ〜、こんなところにそば屋があったんだ』程度な感じだね……。」

そんな10代の少女とは思えないような会話をしながら2人はまったりしていた。



可憐「♪わたし〜は〜科学者〜。」
鈴凛「…2番歌わなくていいから、早く2人を追わないと見失っちゃうわよ。」
可憐「大丈夫ですよ、2人の行く先はわかってますから。」

と、可憐と自信満々に言い切っていた。

鈴凛「そうなの…?」
可憐「うん、2人の最終目的地は屋上です。そこであるイベントをやっているんですよ。」
鈴凛「イベントって、何かやってるわけ?」

にぱぱっ
可憐「それは、来ればわかりまぁす

媚を売っているかのような笑顔を見せてしらばっくれていた。
鈴凛はとりあえずそれ以上は突っ込まなかったが、目的地がわかる以上しばらく尾行を続けた。



2人が次に辿り着いたのは多田屋 本屋だった。
少女雑誌の棚に行くと思いきや、少年誌の棚で立ち読みをしていた。

千影「フフフ、『暁!!男塾』……こいつは最高だね……」

千影はスーパージャンプ 某青年雑誌を見ながら、満足そうに呟いた。
ちなみに千影は男塾だけしか見てないので、他の連載などは一切見ていなかった。

咲耶「やはりチャン○オンといえば、しゅーまっはよね〜

咲耶は最近知った、かわいいんだか不気味なんだかよく分からないしゅーまっはにハマっていた。
バ○も読んでいるのだが、エイ○ンだけは生理的に受け付けないようだった。


鈴凛「あの2人って普段あ〜ゆ〜漫画読んでたんだ…。ちょっと意外ね…。」

鈴凛は近くから立ち読みのふりをして2人を観察していた。

可憐「ク・ソ・り・ん・り・ん。天国・地獄・大地獄ッ! 『天国』『地獄』『大地獄』ッ!
   わ〜い、よかったね鈴凛ちゃん。鈴凛ちゃん、名前占いで『大地獄』行きみたいですよ

鈴凛「って、誰がクソ鈴凛よッ!!

可憐は見た目からしてインチキそうな占いの本を見ながら、無邪気そうに笑っていた。
鈴凛は可憐に掴みかかろうとしたが、瞬間移動のように回避されてやり場のない怒りを抑えていた。



千影「中坊林太郎………シブイなぁ………
咲耶「コミック○レードも守護○天がこんな感じじゃあ、長くは持たないわね。」

一通り少年誌を見た後、2人は2階へと上がっていった。
鈴凛はとりあえず可憐のことは置いといて、2人を追っていった。



次に辿り着いたのは、小鳥や小動物を扱っているペットショップ『ホルス神』だった。
ここにはハムスター、インコ、リス、ヤドクカエル、しゅーまっは、スタンド使いなどがいて、子供に大人気であった。

千影「いいかい?よく聞くんだよ……チカチュウ、ゲットでチュー……」

千影はインコに向かって大真面目に言葉を覚えさせようとしていた。

千影「チカチュウ、ゲットでチュー…………さあ、どうしたんだい……?言ってくれないと……泣いちゃうよ……。」
咲耶「…さっきから、何バカなこと言ってんの…?」

フッ
千影は咲耶に突っ込まれても少しもうろたえず、自慢のウンチクを披露した。

千影「知らないのかい……?チカチュウとは、古来日本から伝わるド畜生でね………それをゲットできたものは………
   子供達の白無垢を利用して、ゲームやカードで一儲けできるっていう……言い伝えがあるんだよ……」

咲耶「へぇ、それは甘い汁ね。」

ちなみに2人はポ○モンが嫌いだった。



鈴凛「…やっぱり何考えてんだか分からないわね、あの2人は……。」

鈴凛はハムスターを撫でようとして、噛まれた指をさすりながら2人を観察していた。
もちろんムカついたので、そのハムスターをしゅーまっは化していた。

可憐「カエルさん、カエルさん。桃の木には、ハゲ薬が良く効くんですよ。知ってましたか?」

と、可憐はヤドクカエルの分泌液を、こっそり採取していた。

鈴凛「って、また何危ないことしてるのよ!」
可憐「え〜、知らないんですか?鈴凛ちゃん。昔中国にいた『太公望』っていう人が言っていたんですよ。」
鈴凛「そうじゃなくて、その毒をどうするつもりなのよ?」
可憐「え?この液体ですか? 別にいいじゃないですか。こっそり毒殺したってバレはしませんよ。」

ニコニコ
鈴凛は可憐のその笑顔に少し恐怖を覚えていた。

鈴凛(このコならやりかねないかも………)

そのころ、むこうの2人は別の場所に移動しようとしていたので、急いで後を追って行った。



咲耶「あ〜、最近退屈ね〜。今度何か面白いビデオでも借りてこようかしら。」
千影「フフフ……それならとっておきの映画があるであります………。」
咲耶「ふ〜ん、どんなの?」

咲耶はもう慣れたので、千影の言葉使いには突っ込まずに、普通に流していた。

千影「青春アクション大河ロマン『わしが江田島だ』」

咲耶「やっぱいいわ……。」

千影「……そうかい…………江田島平八が戦車に乗って大暴れする……とってもいい映画なのに………」

千影は本気で残念そうだった。

千影「いや、うん……見たくないんならいいんだが………チッ………そうか見たくないのか、やれやれだ……」
咲耶「何かやけにしつこいわね……。見ないわよ。」

千影「くすん………」



2人が向かっていたのは屋上だった。
鈴凛はエスカレーターに乗りながら、壁に貼ってあったチラシを一瞥していた。


TVでは絶対みられない迫力!!生か死か?今世紀最初のデスマッチ「殺シアム」


鈴凛「……………………」

鈴凛は見間違いだと思い込んだ。
何かの間違いだ。きっとそうに違いないと無理矢理自分に言い聞かせた。

可憐「異常なーーーし!このエスカレーターの点検は異常なーし!

そんな可憐のボケも鈴凛には聞こえていないようだった。



屋上に上がってみると既に人が集まっていた。
中央にイベント用の舞台が用意されており、看板には紙で作られたバラが装飾されていて『殺シアム』と書かれていた。

鈴凛(なんか嫌な予感がするなぁ……)

咲耶と千影は舞台の目の前に陣取っていて、鈴凛たちは少し離れた席に座ることにした。
そして待つこと数分後、マイクを叩く音が聞こえたかと思うと、ようやくイベントが始まった。


「みんな〜!!今日は『殺シアム』に来てくれてありがと〜!!楽しんでいってね〜!!」


突然陽気な声が聞こえてきて、その声の主は会場に姿を現した。
その少女は金髪のツインテールで、見た目は幼く真っ赤なドレスを身につけていた。
しかも、背中にはコスプレのように羽が装着されていた。


「司会はみんなのアイドルこと、四天王うづきがお送りします!みんな、よろしくね〜!!」


鈴凛はもう帰りたかった。
家に帰って、メカ鈴凛のメンテナンスをしながら平和に暮らしたかった。
現実は非常なものだと、心の中で泣いていた。

鈴凛(…つか、何でハピレスが出てくるのよ………)

可憐にいったん下に戻ろうと言いかけたが、既に可憐はポップコーンを片手に会場に釘付けになっていた。
こうなっては、もう何を言っても無駄だろうと鈴凛は諦めていた。


千影「おう、いつ見てもさすがじゃのう、うづきママのコスプレは。

咲耶「なんでも今度、羽リュックにも挑戦するらしいわよ。


可憐はポップコーンをぱくぱく食べながら、2人の会話を聞いていた。

可憐「へぇ〜、うづきママならやるかもしれませんね。」
鈴凛「…コスプレ会場なの……?ここは……」

とりあえず鈴凛は、早くこれが終わることを祈っていた。


うづき「さて、今回の殺シアムはうづきのベイビーちゃんこと、仁歳チトセくんのハートフルサクセスストーリー!!
    天涯孤独のチトセくんが5人のママに囲まれて、とっても幸せな毎日を送る物語でーす!!」


チトセ「ちっとも幸せじゃねぇーーーーー!!

舞台の奥から縄でぐるぐる巻きに縛られた少年が現れた。


チトセ「楽しいとこに連れてくって言ったから、大人しく着いて行ったのに、この扱いはなんだーーッ!!」

さつき「うるせーぞ!今さらじたばたすんな、みっともない!」


と、さつきママは頭をどつき、無理矢理チトセを大人しくさせた。


うづき「と、ひとり食欲と体力しかとりえのない人もいるけど、
    みんなチトセくんのことが大好きで、わが子のように愛しているのです!!」

さつき「うるせーぞ!おまえだって、ちんちくりんなコスプレしか能がないじゃねーかッ!」
うづき「ぶー、うづきはこれがセールスポイントなんだからいーの!」

チトセ「ううう……どうでもいいから、早く解放してくれ……」


チトセはさつきママにヘッドロックをかけられながら、必死に逃れようとしていた。


うづき「まあ、それはともかく、今日はそんな美人ママたちに強力なライバルが現れたのです!
    そのライバルと我がママ先生たちの存亡を賭ける死闘が、今日の殺シアムの主旨なのです!!」

さつき「おう!このオレにケンカを売ろうなんざぁ、いい度胸してるじゃねーか!かかってきやがれってんだ!」


さつきママは指の関節をならし、ファイティングポーズをとってやる気まんまんだった。


うづき「それでは、早速挑戦者に登場してもらいましょう!どうぞ!!」


と、舞台裏からおずおずと出てくる人影があった。
制服姿の小柄な少女で、大勢の人を前に緊張しているようだった。
しかも、チトセには見覚えのあるどころか、よく知った顔だった。


チトセ「え…?み、みな!?」


チトセは突然現れた幼なじみに驚愕していた。


うづき「そう!このみなづきちゃんこそ、ママたちをおびやかす強力なライバルなのでーす!」

チトセ「なにィーーーーーーーーーーッ!?

さつき「おっ、お前か、ママ企画の中で唯一妹属性を名乗る六祭みなづきというキャラは!」


おどおど
みなづきはさつきママの迫力に押されて今にも泣きそうだった。

チトセ「おい!2人とも、みなにひどいことしたら、俺がゆるさねーぞ!」
みなづき「お、お兄ちゃん……。」

チトセは縄で縛られたままだが、必死にみなづきを守ろうとした。

うづき「おおっと、出たー!美しき兄妹愛!!この妹オーラこそ、みなづきちゃんの最大の武器!
    まったく妹キャラなんて、量産型のシスプリで充分なのにねー!


咲耶・千影・可憐「何だとーーーーーーーーーッ!!



観客席の3人はそれぞれ近くにあったものを投げつけていた。
鈴凛は別にどうでもいいことだった。

うづき「あうー……!ものや電波を飛ばさないでくださーい!」
さつき「で…電波?」


その後3分間後片付けに手間取り、千影の投げたしゅーまっはを処理したのち、イベントは再開された。


うづき「さあ、ちょっとトラブルが起きたけど、殺シアムは続けるよー!!」

その場のちょっと気まずい雰囲気を吹き飛ばすように、うづきママは明るく振舞った。


うづき「はい、みんな静聴〜!!今日はこれより、みなづきちゃんから年一度の訓辞があるんだよ〜。
    妹としての生き様、死に様、果ては前途多難な国際情勢下における日本の進路までが語られるかもよ〜。
    みんな、心して聞いてね!では、みなづきちゃん!」

みなづき「えっ…!?あの…訓辞って…」

みなづきは突然うづきママに振られて困惑していた。

さつき「年に一度……?あんまし長い話はごめんだぜ。」
チトセ「っていうか、いきなり訓辞って何だよ。」

みなづきはしばらく当惑していたが、しばらく考え込んだあと、口を開いた。


みなづき「い…妹の六祭みなづきです。よろしくお願いします。


パアアアアア

会場は目に見えない妹萌えにつつまれた。

うづき「おつかれさまでした!
チトセ「へ?」


ざわざわ
チトセには理解できていなかったようだが、みなづきから発せられた妹オーラに会場は恐れおののいていた。


さつき「くっ……こ、このオレにプレッシャーをかけるとは……一体どんな妹キャラなんだ!

千影「いつ聞いても……ズシリと重たい一言だ………グスッ。

咲耶「感無量、今のひと言にすべてが集約さてれるわね。ヨカッタナ。

鈴凛「本当のアホか……この人たちは……。」

鈴凛は当初の目的を忘れ、終始呆れていた。




すいません……次回に続きます…。




元ネタ
ジョジョ7、11、21、22、41、48巻、6部6巻、謎の特撮物、封神演義、しゅーまっは、魁!男塾、
HAPPY★LESSON………
え〜と、ハピレスに妹キャラは邪道だよね、うん。
しかも、ロリってとこが凶悪だね。蒼竜アニキは喰いつきます。

……こんなのに1ヶ月以上もかけてました……。恥ずかしいです……。
つか、もうこれジョジョ・プリではありません……
オチが決まっていても、その過程を書くのはとても難しいです。
しかも、いらないネタ多すぎ………
次回はまともにいくように考えますので……

サークル名『鞠凛・衛村』
(マリリン・マンソン)
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