ある日の休日、可憐、衛、咲耶の3人は四葉の家に遊びに来ていた。
そして四葉は最近飼い始めたというインコを披露していた。
「うわー、四葉ちゃん。そのインコかわいい〜♥」
「ねえねえ、四葉ちゃん、ちょっと触ってもいいかな?」
「いいデスよ、ほら、ワトソン君。」
四葉は肩に乗っているインコを指に止まらせ、可憐たちの前に差し出した。
「人懐っこいのね、このインコ。」
「ちゃんと言葉も話すんデスよ。ほらワトソン君、みんなに挨拶をするデス。」
インコは四葉の言葉に反応すると、すぐさま鳴きはじめた。
「オハヨー」
「わあ、喋った、すごーい。」
「ちゃんと言うことを聞くなんて訓練されてるんだね。」
「でも、何か変な鳴き声じゃなかった?なんていうか、人の声に近いというか…」
ピクッ
ゴゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
その時四葉が見せた怪訝な表情には誰も気がつかなかった。
「そうだ、四葉紅茶を淹れてくるデスよ。ちょっとまっててくだサイ。」
そういって四葉はキッチンへ向かって行った。
可憐と衛は何も気づいていなかったようだが、咲耶だけは違和感を感じていた。
「私の思い違いかしら…。」
とりあえずそのことは忘れて、四葉の持ってきた紅茶とビスケットをつまんでいた。
4人が兄の話で盛り上がっている時、それは起こった。
咲耶は四葉のポケットがさっきからもぞもぞしていることに気が付いた。
(あれ?さっきのインコ、いつの間に四葉ちゃんのポケットに入ったのかしら…。)
そのインコは挙動不審な動きをし、明らかに不自然だった。
そして瞬間、
ガパッ
サーーーッ
(え!?)
ドドドドドドドドドド
………………
咲耶は目を疑った。
インコの頭がとれたのだ。
しかもその頭の中から人間の手らしきものが出て来て、そばに落ちていたビスケットのかけらをとったのだ。
(なッ!?なに今の!?)
(ポケットにいたあの『インコ』は……頭のところがとれて…。で…でも、もしかして見間違い?どうしよう?)
他の3人はそのことに気づいていないようだ。
咲耶だけがその非現実的な光景を見ていた。
(………………)
突然のことに戸惑いながらも咲耶はなんとか平静を保ち、そのことには触れないことにした。
数時間後、夕刻になり、3人はそれぞれの岐路につくことになった。
「それじゃあね、四葉ちゃん。また遊びましょうね。」
「今度はあにぃを連れてくるからね。」
「…じゃあね、四葉ちゃん。」
「はいデス。それじゃあ、またネ。」
四葉は3人を見送ると家の中に入っていった。
可憐と衛はそのまま家に帰っていったが、咲耶だけは途中で四葉の家に戻っていった。
(やっぱりさっきのは見間違いなんかじゃないわ。入ってたのよ、何かが。)
咲耶は四葉の家の中庭に回り、窓の近くで立ち止まった。
窓は少しだけ空いていた。息を殺し、そっと窓から中を覗いた。
そこには四葉がソファに座っていた。ただそれだけだった。
(何でただぼーっと座っているだけなのかしら…?)
咲耶が訝しげに思うと、いきなり四葉が口を開いた。
「飛んでみるデス、さ。」
と、四葉はポケットに手を触れた。
そこにはさっきのインコがいたはずである。
「あなたならできるデス。四葉はあなたの事大好きだし……あなたも四葉の事が大好き……。
さ、信頼があればできない事はないはずデスよ…。」
(…………?何を言っているの?)
その時、四葉のポケットからインコが顔を出した。
インコはしばらく何かをためらっていたが、四葉に凝視され、あわててピョン!と肩に飛び乗った。
まるでインコに意思があるかのように四葉の命令を聞いていた。
それを見て四葉は気分を良くした。
ニヤッ
「よお〜〜〜〜〜〜〜し、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし、
とってもとってもとってもとってもとってもとっても、きゃわィィイイねェェェェェェェェワトソン君!よく出来たッ!」
ビクッ
咲耶は突然叫びだした四葉に驚いた。
(なッ!何!?一体何なの!?)
「ほっぺがふわふわっ!小さい頃!金魚とか猫とか飼った事あるデスけど、あなたが一番きゃワイイよッ。
ワトソン君!夕ご飯をあげよーねェェェェェ。」
と、四葉はパスタをインコにあげようとした。
「オハヨー」
「ン。」
サッ
四葉は機嫌を悪くし、パスタを遠ざけた。
「違うデスよ、ワトソン君。オハヨーじゃないでしょ、『チェキ』でしょ!
四葉のこと『チェキ』っていうのがきゃワイイんでしょ。」
「チェキ!!」
「よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜し、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし、
イイ子だよ、ワトソン君!」
「バクバクバクバクバクバクバク」
インコは与えられたパスタをがっついて食べていた。
「チェキ!チェキ!チェキ!チェキッ!チェキッ!チェキ!」
「違うッ!違うッ!次は肩から指デス、飛びうつるんデス。あの指デス。
ピョンって行くんデスよッ!パスタいっぱいあげマスよ!できるでしょ。」
四葉は指を出し、飛ぶように促した。
しかしインコはその遠い距離に飛ぶのをためらっていた。
「どーしたんデスか?やってみせてよぉ、ワトソン君!
信頼を築くには冒険は絶対必要デスよッ!指にとまってみせるのよ!ワトソン君。」
それでもインコは飛ばなかった。
それに煮えを切らした四葉は…………
キレた。
「どーしたッ!やるデスよッ!」
バアッ
インコは四葉に脅され必死になって指に飛び移った。
ガシィ
うまく指に飛べたはずだったが、勢いが強すぎてよろけてしまった。
ヨタ、ヨロヨロ、ヨロッ、トトト…ト
「う…うお。」
「なに!『うおお』?」
ガシイィッ
「ギ!」
四葉は乱暴にインコを握り締めるとすごい形相で睨んだ。
「今、何つったデス!?小鳥が『うおお』って言うのデスか!?おいッ!!
何度教えてもわからねえヤツデスね!?」
「チ…チェキ!チェキ!チェキ!チェキ!チェキ!」
「おい!なんだそれーッ、てめーーーゴマかそうとしてるんデスかッ!ウソくせ〜〜〜んデスよ。信頼にしらじらしさがあっていいと思っているんデスか?え?どう思うデス?あなたとは気が合わないって事じゃあないデスか!?」
「ピ。」
インコは締め付けられて虫の息になっていた。
「もうだめデス、限界デス。あなたとはよォ〜〜〜〜。」
フワリ
「はッ!」
サッ
突然背後から気配を感じ、いそいでインコを隠した。
「…………?」
キョロキョロ
「なんデスか今のは?今、背後に何か近づいたような。」
「ン。…………。」
四葉はその異変に気づいた。
今までいたインコがいなくなったのだ。
かわりにその手にはバナナが握られていた。
「バナナ………………………!?」
シュゴォォォォォ
ドン
四葉の死角からワイヤーが飛んできた。
咲耶が四葉の気を反らせた後、ワイヤーでインコを掴みとっていたのだ。
それに四葉はまだ気づいていない。
「いったい……何なの?これは!?インコじゃあないッ!」
ドドドド
咲耶は捕まえたインコに必死に呼びかけた。
ドドドドド
「ねえ、あなた!?何なのよ!四葉ちゃんと今、何をしていたの!?」
ドドドド
「さっき見たのよ…その首のところ……帽子みたいにとれるわね、何なのよあなた?鳥の死体を着てるのね?」
ドドドド
「出て来なさいよッ!何なのか私に見せてッ!こっちから取るわよ!」
咲耶は半ば無理矢理インコの頭を取った。
そしてその中身を見た。
………………
(なに…これは……『手』??『小さい』………『人間』………)
ドドドド
インコの中にはバラバラになった肉片が入っていた。
(殺されている………スデニ…)
(な……なんなの………!?『小さい』けど…ほ…『本物の肉体』………)
(簡単に……!!すでに四葉ちゃん!バラバラに……)
(殺しているッ!)
咲耶はしばらくその物体に気を取られてた。
そして周りの異変の気づいたのはその後だった。
(!?)
(え?)
突然周りのものが大きくなったように見えた。
クルッ
振り向くとさっきのインコが自分と同じサイズになっていた。
ドドドドドドドドドドド
「なっ!!」
(な…にッ!?これはッ!!…!?!?)
「やっぱりあなたデスかァ〜、咲耶ちゃん!どうやってワトソン君を奪ったァァァーーーーッ。」
!
「こ、これは!?まさかッ!!」私の『体』ッ…………!!」
小さくなっていた。咲耶の体は身長20cmぐらいに縮んでいた。
ドーーーーン
四葉は咲耶を捕まえると家の中に入り、自分の部屋へと駆け出していった。
「咲耶ちゃ〜〜〜ん、咲耶ちゃ〜〜〜ん、咲耶ちゃん!さッくゥやァッちゃァァ〜〜〜〜〜ん!」
「ひっ」
ボゴオ!!
咲耶を机に投げ飛ばすと、部屋のカギを閉めた。
ニッ
「まっ、いいデス♥
どうやってワトソン君を奪ったなんてもうすでにどうでもいいデス。」
「咲耶ちゃ〜〜〜〜〜ん。四葉、あなたの事本当にだんだん好きになって来たんデスよ、仲良くなりたいって言ったんデスよ。」
「な…なんなの?こ…この体!!何を!?いつの間に何が起こったの!?」
「ねえ、聞いて咲耶ちゃん。お願いだからしゃべらないで話を聞くデス!心を動かすだけで『人を小さくできる』この能力!
いきなり身についたこんな能力に四葉自身も驚いているデスけど、これは『天』が与えてくれたチャンスデスよ!」
ドドドドドドドドドドド
(なんて事…どう…すれば……いいの…。このまま『小さい』なんて!そして何なの?こんな事が起こってる私の人生は!?)
謎のスタンド能力を身につけた四葉。
はたして咲耶は自分のスタンドで四葉を破ることができるのかッ!?
←TO BE CONTINUED
続きません………。危なすぎですこの四葉。
蒼竜アニキにやめたほうがいいと言われたんですが、悪ノリで書いちゃいました。
この後、ねずみの抜け殻を着せられたり、チュー言葉を使ったりしません。
あくまでフィクションなので、それをお忘れなく。
シチュ
コントロール室へは
どっチュへ行けばいいんでチュか?
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