前回のあらすじ

 よくわからんが千影がレストランを開いたらしく、兄と咲耶はその店に足を踏み込んだ。
お腹が空いている兄は「マスター、いつもの!」と寿司屋で常連を気取る中年のようにはしゃいでいた。
そんなやんちゃな兄も料理がテーブルにのせられると、
どんな料理を出す気か知らんが、容易なこっちゃこの京極万太郎……満足させられんで。
と評論家ぶってめしをかけこんでいた。

兄 「オー!マイ!コ〜ンブ!

兄はほっぺをハートマークにしてお決まりのポーズをとっていた。

千影「ママミーヤ………」

そしていま、新たなる世紀末伝説がはじまる……



兄 「それじゃみんな、パッパラ2で会おーぜ!!」

咲耶「お兄様……パッパラ隊はとっくに終わってるわよ…。」

兄 「それじゃあ、妹を12人集めてシェンロンに復活させてもらおう。」

咲耶「Gファンタジーの『華の神剣組』で我慢しなさい。」

兄 「まあそれはともかく、千影遅いな〜。」

かれこれ10分は経ったはずである。いまだ次の料理は運ばれてこない。
と、その時、厨房から叫び声が響いてきた。

? 「ギニャアアアァァァァ!!!

ビクッ
兄 「なッ!なんだ!?」

いきなりの断末魔に2人は驚いた。
千影の身に何かあったのだろうか……兄は千影にもしものことがあったらと心配して……
いなかった。

兄 「ま、千影のことだ、エモノでも捌いているんだろう。」

咲耶「そうね。早くしてほしいわよね。」

2人は妙に冷静であった。
そして厨房からなにやら会話らしきものが聞こえてきた。



千影「お前など……指一本で十分だ………。」       (BGM ♪♪♪〜♪

? 「なんだと!?」                       (BGM ♪♪♪〜♪

千影「ハァァァァァァ………」                  (BGM ♪♪♪〜♪



北斗無想転生!!



千影「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」(♪ YOUR SHOCK!!) 

? 「ブッガァーーー!!!」             (♪ 愛で空が落ちてく〜る

ドガッ!                         (♪ YOUR SHOCK!!

? 「ひぃぃぃぃ……ご…ご…ごめんなさい。もう悪いことなど何一ついたしませんからぁ……
   ね…き…聞こえてますかぁ…?」                      (♪ 俺の胸に落ちてく〜る

千影「少し遅かったな……この足を離したら………お前は死ぬ……。」  (♪ あ〜つい心、く〜さりで繋いでも) 

? 「そ…そんな……冗談でしょ?お…おれ、独身のまま死ぬなん……死ぬ…死ぬ……いやだーーーッ!!
                            (♪ 今は無駄だ〜よ)

千影「お前は私を怒らせた………。」      (♪ 邪魔するや〜つは指先一つで〜ダウンさ〜

そんなほのぼのとした会話が聞こえてきた。



咲耶「終わったらしいわね。」

兄 「全く千影のやつ……あれほどジョジョと北斗を一緒にするなと言ったのに……。

一般人にはどうもジョジョと北斗を同一に見る傾向があるようです。

『オラオラ』と『あたた』を一緒にしてはいけません。



そしてようやく厨房から千影が現れた。

千影「アブドゥル、イギー、花京院……終わったよ。」

兄 「はい?」

            プリモ・ピアット
千影「いや……次は第一の皿……パスタ料理だよ……。名づけて……」



スペースリパー・スティンギーアイズ
空裂眼刺驚ッ!!



咲耶「それやると思ったわよ。」

千影「フッ……気にしないでくれ……このパスタ料理の名は『餓鬼風スパゲティー』というんだ……」



材料
・スパゲティー ・黒オリーブ種なし
・オリーブオイル ・カラドリウスの羽(1)
・ニンニク ・鴆毒(羽)
・プチトマト
・その他(いえないもの) ・パセリ ・塩 ・ペッパーなど
・(゚∀゚)チーズ

(賞味時期 熱いうち)


あまりにも飢えている餓鬼がてきとーに作ったら、うまかったというのがこの名の起源(らしい)。
鴆毒を使った料理には解毒剤のカラドリウスの羽を使わないが、この料理は例外でかけて食べる。


千影「さあ……料理を続けようか……?」

テーブルに置かれたスパゲティーからは湯気が立ち上り、香ばしい匂いが辺りに広がった。
そのスパゲティーは見た目は普通なのだが、毒を使っていることから兄は警戒していた。

兄 「このスパゲティー……毒が入ってるの?」

千影「ああ……鴆毒が入っているんだよ………。『餓鬼風スパゲティー』は魔界料理史上最も古くからある
   パスタソースの一つ……。だから私のおすすめする料理のひとつだよ………。」

兄 「ああ……その……やっぱり毒はまずいんじゃないかな。
   その……千影の料理がどーこーいうってわけじゃなくて、この毒って猛毒の種類だろ。」

鴆毒とは、中国で最も恐れられた猛毒として知られている。
鴆(チン)という鳥の羽から抽出される毒はひとたび口の中に入れば、まず助からないという。
兄は一口だけ食べようとパスタをおそるおそる口に持っていったのだが…

兄 「あ!ダメッ!『怖い』っ!これ怖い!激怖い!」

毒が恐ろしくて食べることができなかった。

咲耶「お兄様、怖くて食べられないっていうなら……食べるのやめたら?」

チラッ
咲耶は千影に一瞥して非難に近い視線を送った。
千影は一度目線を合わせたが、すぐに兄に向き直った。

千影「そう……毒は怖いかい………でも私のスパゲティーは解毒剤を入れているから安心なんだよ……
   でも……ダメならダメで結構だよ……。それじゃあ……私は第2皿目(メインディッシュ)を作ってくるよ……。」

そういって千影は厨房に消えたが、兄はまだスパゲティーと格闘していた。

兄 「そう言われてもなぁ…僕は千影の料理を認めてるんだけどなぁ〜、
   千影は間違いなく天才だよ、さっきの前菜はうまかったし……
   おっ、そうだ!作り直してもらおう、毒が入ってないやつに。」

咲耶「いえ!お兄様、それ毒が入っててラッキーだったのかもよ。」

兄 「え?なんで?」

咲耶「お兄様はこの料理が異常だとは思わないのッ!怪しいわよッ!」

兄 「怪しい?……って何が?」

咲耶「肩から化け物がでたりすることよ、怪しいでしょ!」

兄 「怪しいねぇ……ウーム。」

パクッ

咲耶「!? えっ!」

ズルズルズル
モグモグモグ…

兄は無意識のうちにパスタを口に入れていた。食べるつもりはなかったのだが、吸い込まれるように食べていた。

咲耶「お兄様、何食べてるのよ!」

兄 「そ…そうなんだよな……食べられるはずがないんだよな、毒が入ってるし。でも思わず食べちゃった…。
   クセになるっていうか、いったん味わうとひきずり込まれるっていうか………
   たとえると新しいマンガを読もうとして、大して好きでもない『封神演義』をフト気づいてみたら全巻読んでいたってカンジだよ。

ズルズルズルズバズバ!
ズルズルズバズバ

!!
咲耶「お兄様、食べるのをやめてッ!」

兄 「うわああああ!はっ、腹が空いていくよぉ〜〜〜〜っ!!食べれば食べるほどもっと食べたくなるッ!
   ンまぁーーーーーーーいっ!!味に目醒めたァーっ!

バクバクバクバクバクバク!

咲耶「お兄様!それッ!」

ホォーーン
ガッ

!!
いきなり兄の口から歯が飛び出し、テーブルに突き刺さった。

咲耶「歯よッ!お兄様の歯がぬけ飛んだわッ!」

兄 「親知らずだよこれッ!これが邪魔で永久歯が歯ぐきの横に生えてきちゃったんだ。」

ドドドドドドドドドド
咲耶「これで決まりね、歯が突然抜け落ちるなんて、どう考えても異常な料理よ!私、調理場まで行って来る!」

ドドドドドドドドドド
(千影ちゃん、一体何をたくらんでいるのッ!?)

バンッ
咲耶は厨房のドアを開け、千影の姿を追った。

キョロキョロ
厨房にはまな板に刻んだキャベツやたまねぎがそのままおいてあったが、千影の姿はなかった。


ガツガツムシャ
バグムシャバグバグバグッ!

(………何の音かしら…?千影ちゃんはどこ?)

ふと近くにあったテーブルを見ると、完成したばかりで湯気が立っている肉が置いてあった。

(メインディッシュは完成済みね……。)

ムシバグバグムシャ
バグバグムシャムシャ

その音は厨房の奥の部屋から聞こえてきた。
咲耶は奥の部屋へと静かに近づき、そこで千影の姿を発見した。

咲耶「!!?」

バクバクムシャムシャバク!
ガツガツガツ

咲耶はその音が何かを食べる音だと理解した。
奥の部屋では千影が子犬に何かを食べさせているようだった。

バクバグバクムシャ

千影「よしよし………いい食べっぷりだよ……フフフ……
   メインディッシュの『イナバシロウサギ背肉のリンゴソースかけ』は成功のようだね……。」

咲耶(あの子犬が食べているのは、あそこにあるメインディッシュと同じ肉……。)

子犬は空腹だったのか、その肉をすごい勢いで食べていた。
しかし、その時異変が起こった。

パタ………
子犬が突然倒れたのだ。

咲耶「えっ!?」

咲耶は思わず声を上げてしまった。その声に千影は気づいたようだ。

クルリ
千影「そこで何をしている………見てしまったんだね………」

咲耶「!!

ドシュウーーーー!!
千影は近くにあった包丁を咲耶に向かって投げつけた。

ドズゥ!
ビイィーーーーン
包丁は咲耶のすぐ横の壁に突き刺さった。

ドドドドドドドドドドドドド
千影「咲耶ちゃん……覗き見に来たというわけかい………?
   フフフ……ただじゃおかないよ……この千影……容赦せんッ!」

ズンズンズンズンズン
千影はゆっくり咲耶へと近づいていった。

ドドドドドドドドドドドドド
咲耶「何であなたなんかにストレイツォのモノマネを言われなければならないの?
   私のセリフよッ!千影ちゃんッ!その『料理』で何をしようとしているのッ!」

咲耶が千影に掴みかかろうとした時、

ムシャバグバクガツムシャバグ

咲耶「!!」

振り向くとそこには、置いてあったメインディッシュを食べている兄の姿があった。

咲耶「おっ………」

ガツガツバグバクバグムシャムシャ

咲耶「お兄様ッ!何を食べているのーーーッ!!」

バグガツガツ

兄 「ガマンできないッ!食べずにはいられないっ!リンゴソースの甘ズッパさとウサギの肉汁がのどを通るタビに幸せを感じるッ!こんな味がこの世にあったとはァーーーーーッ!幸せだァーーーッ!幸せの繰り返しだよぉぉぉぉ〜〜〜〜っ!」

ドドドドドドドドドドドド
咲耶「その肉を食べてはだめッ!お兄様ァッ!」

兄 「ンまあーーーーーいっ!

パタッ
兄はいきなり倒れ、そのまま動かなくなった。

!!
咲耶「お……お兄様ァ〜〜ッ!!」

ドドドドドドドドドドドドドド
千影「千影、容赦せんッ!」

クル!
咲耶「ハッ!」

振り向くと千影は咲耶のすぐそばまで近づいていた。
そして千影はビンのような鈍器で咲耶に迫ってきた。

咲耶「千影ちゃんッ!!」

バンッ

千影「ここでは!この『魔よけの聖水』を使うんだッ!

咲耶「えっ!?」

千影の持っていたビンには透明な液体が入っていた。

咲耶「えっ!?『魔よけの聖水』を使えって言ったの?」

千影「ゆるせないよ……断りなく調理場に入ってくるのは困る……。
   咲耶ちゃん、ここは普通の人間には瘴気が強すぎる……最悪の場合死んでしまうかもしれない……。」

咲耶「瘴気?コレを使えっていうの?」

タジタジ
咲耶はあまりにも唐突なことを言われて、何がなんだかわからなくなった。

兄 「おい!咲耶!体の具合がスッキリして、急に満プク感で満たされてきたよ!」

咲耶「えっ!?エッ!?」

バーーーーーーン
兄 「貧血気味だった体が治ったァーーーーーっ!

咲耶「えーーーーーっ!」

にやそ
千影「それはよかった………私は兄くんに料理を楽しんでもらって………
   そして快適になってもらうのが……最大の喜びで最大の幸せだよ……。」

咲耶「!?」

キャイン キャイン クーン ワン

咲耶「あっ、子犬が……。」

そこにはさっきまでぐったりとしていた子犬が、何事も無かったようにピンピンしていた。

千影「この『イナバシロウサギのリンゴソースかけ』は、微妙な料理で……少しムズかしいんだよ……
   それで、この子犬に味見をしてもらったんだ……彼もちょっと貧血気味だったからね……。」

咲耶「ち…千影ちゃん!千影ちゃんの目的は、本当にお兄様にいい料理を食べさせようと……それだけなの…?」

千影は何をいまさらといったカンジで咲耶を見ていた。

千影「妹にとって他に何があるっていうんだい……それが私の望むすべてだよ……。
   だが、咲耶ちゃん……キミは非常識だよ。この聖水を使わないで色んなとこを触っただろ……。」

咲耶「えッ!」

千影「魔界料理の調理場は……常に強い瘴気を出すものだよ……キミ達には刺激が強すぎる……
   だから私は怒ったんだよ……無断でここに入ってきたことは絶対にタダじゃおかないよ……
   咲耶ちゃんには……今使った皿を洗ってもらうよ……。」

咲耶「え?ご…ごめんなさい。わ…悪かったわ。
   でも、私一人でやるの?」(包丁投げる?ふつー。)

千影「あたり前だよ……早くだよ……私は兄くんにデザートの『デゾリスペンギンの卵』を出さなくてはならないんだ………これを食べてもらって快適になってもらうんだ……。」

で、兄の前に見たこともないような卵が置かれた。
デゾリスペンギンとは、アウルデゾリアを品種改良してペット用とされた愛玩動物である。
「きゅー」という可愛らしい鳴き声から若い女性には大人気である。
千影はデゾリス星まで行って500メセタで買って来たらしい。

兄 「デザートは卵…?普通、フルコースのデザートに卵を出すか?」

兄は一口その卵を口にし、

兄 「ンまぁ〜〜〜〜〜〜〜〜い!!また来るよ!何回でもかようもんねーーーーっ!
   やっぱり天才だァーッ!天使のような料理人だあ〜千影はよお〜ッ!
   僕は千影のような妹がいることを誇りに思うよぉ〜〜っ!」

味に目醒めていた。

その頃咲耶は

咲耶「まったくなんで私がこんなことしなくちゃならないの?
   ただ付き合わされて、料理も食べたわけでもないのに、こんなことしている私の立場は…?」

千影「ほら……無駄口をたたかない……まだこれも残っているよ……。」

台所で皿洗いをしていた。
そんなこんなで魔界料理で快適になった兄はご満悦の表情だった。
対する咲耶は「結局貧乏くじを引いただけ」と不満をもらしながら帰っていった。



しかし、話はこれだけでは終わらなかった。
千影の魔界料理は口コミで評判となり、マスコミまでもが取り上げるようになった。
連日の超満員で千影は休息を取ることもままならなくなっていた。
その翌日、店の開店より4時間もはやく来て、最前列に並ぼうとした人はそのありさまを見て驚愕した。
店は跡形もなくなっていたのである。

その後、兄が千影に理由を聞いてみたところ、

千影「あれはただの貴族の遊びだよ……フフ………。」

兄 「さいですか……。」

こうして魔界料理は謎のままに幕を閉じたのであった。



咲耶「結局、私は何のために出てきたの……?」






前後編にするんじゃなかったですよぉ………。
勢いで書いちゃったから話がわけわかんなくなったしまいました……。
と……とりあえず……この話の趣旨は、
ジョジョと北斗を一緒にするなってことです。
うん…それだけかも…。


スタンド名『パール・謎ぢゃむ』
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